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■NEWS かかりつけ医機能の評価のあり方で議論が紛糾―中医協総会

No.5089 (2021年11月06日発行) P.70

登録日: 2021-10-26

最終更新日: 2021-10-26

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中央社会保険医療協議会総会は1020日、2022年度診療報酬改定に向け、かかりつけ医機能の評価などについて議論した。この中で厚生労働省は、「地域包括診療加算」などの対象疾患へのCKDや心不全の追加などを個別論点として提示した。だが、支払側は、既存報酬の手直しではなく、かかりつけ医機能の評価の抜本的な見直しを行うよう要求。これに診療側が反発し、議論が紛糾した。

この日は、①かかりつけ医機能に係る評価、②医療機関間の連携に係る評価、③生活習慣病に係る評価、④耳鼻咽喉科診療の評価―などについて、厚労省が提示した論点を踏まえて意見交換した。

①で厚労省は、かかりつけ医の役割として、CKDや心不全の管理への対応や、高齢者のインフルエンザや肺炎球菌感染症の予防接種に関する相談への対応が求められていることを指摘。こうした新たなニーズを踏まえた「地域包括診療料」、「地域包括診療加算」の評価の検討を論点として示した。小児への対応では、▶「小児かかりつけ診療料」を届出できない理由で、「時間外対応加算」の1または2の届出要件を満たせない医療機関が一定数ある、▶小児科医の多くが、かかりつけ医機能を果たす上で24時間対応に負担を感じている、▶保護者は夜間・緊急時の対応よりも、体調が悪くなった際の対処方法をあらかじめ助言・指導してもらうことを望んでいる―などの実情を踏まえた、小児かかりつけ医機能の評価を検討課題に挙げた。

■「診療情報提供料(Ⅲ)」は算定できない事例の解消が課題に

②では、「診療情報提供料(Ⅲ)」を取り上げた。同点数の算定では、紹介元あるいは紹介先の医療機関のいずれかが、かかりつけ医機能に関連した報酬を届出ていることが求められる。生活習慣病の治療で、糖尿病網膜症の患者を紹介された眼科が紹介元医療機関に診療情報を提供するケースなどを算定対象に想定しているが、現行ルールでは、当該眼科が「地域包括診療加算」などの届出をしていない場合や、紹介元の届出の状況を把握していない場合は、「診療情報提供料(Ⅲ)」を算定できない。このため厚労省は、かかりつけ医機能を担う医療機関と専門医療機関の連携をいっそう促進する観点からの対応策の検討を促した。

このほか③では、「生活習慣病管理料」について、▶算定困難な理由では管理方針を変更した際の理由、内容などの診療録への記録などを求める要件が上位になっている、▶多職種連携による療養指導の重要性が学会ガイドラインなどで示されている―ことを明らかにし、評価の見直しに向けた議論を喚起した。④では、耳鼻咽喉科領域の処置が、領域横断的に複数の処置を組み合わせて実施されている実態を踏まえた評価のあり方や、内服抗菌薬の処方が多い小児耳鼻咽喉科領域での「小児抗菌薬適正使用支援加算」の算定の可能性などを論点として示した。

■かかりつけ医の制度化はフリーアクセスを阻害する可能性も―診療側・城守委員

厚労省の提案に、診療側は概ね賛成する姿勢を見せたが、支払側は個別論点を検討する前に、かかりつけ医や、かかりつけ医機能の評価のあり方についての抜本的な議論を求め、両者の意見が激しく対立した。

支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、厚労省が示した論点に、「既存の枠組みが前提となっている」と不満を表明。「かかりつけ医のあり方を今一度整理するとともに、かかりつけ医機能を果たされることによる患者側のメリットを明確化し、その上で診療報酬上の評価を検討するべきだ」と抜本的な議論を求めた。この発言に他の支払側委員も賛同する姿勢を見せた。

こうした意見に診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「医師と患者の関係は信頼関係がすべて。それを制度で縛ってしまうと患者が医師を選べなくなることを理解していただきたい」と反論した。その上で、従来の制度は24時間365日対応など、かかりつけ医機能の「強化」に力点が置かれ、それが医師の負担となり、報酬算定が進まない要因にもなっていたと分析。今後、「連携」も重視した要件や評価に転換を図っていくことで、様々な課題の解決や、かかりつけ医機能の強化・連携の実現が可能になるのではないかとの見方を示した。

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