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疲労骨折[私の治療]

No.5088 (2021年10月30日発行) P.51

橋本健史 (慶應義塾大学スポーツ医学研究センター教授)

登録日: 2021-10-29

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  • 疲労骨折は1回の外傷ではなく,度重なる小外傷の蓄積によって生じる骨折である。スポーツ選手に多いが,一般人に生じることも少なくない。骨の脆弱化が進んでいる高齢者ではある程度の歩行でも疲労骨折が起こりうる。頻度としては腰椎,脛骨,中足骨の順に多い1)。思春期のアスリートに多く,早期の診断と治療が必要であるが,病初期には単純X線検査では診断できないことも多いので,注意が必要である。

    ▶診断のポイント

    問診でスポーツ活動について詳しく聴取する。スポーツ活動がない患者では,出張での長距離歩行などの過大な運動負荷の有無を確認する。触診では圧痛点を詳細に調べる。圧痛点がそのまま骨折の部位であることが多い。単純X線は基本ではあるが,骨折初期には診断できないことが多い。CT検査,MRI検査および超音波検査が有用である。特に超音波検査は,単純X線検査で診断できない時点でも骨折線を把握できる2)

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    基本的には保存的治療を行う。スポーツを禁止して,可及的安静を指示する。疼痛に対しては,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用する。四肢疲労骨折の難治例には,超音波を用いたlow-intensity pulsed ultrasound(LIPUS)を行う。セーフスなどを使用して1日20分間,骨折部に超音波パルスを照射する治療法である。2週ごとに骨折癒合を確認し,完全に骨癒合が得られてからスポーツへ復帰させる。

    外科的治療が必要な疲労骨折は,大腿骨近位部疲労骨折,脛骨中央部の跳躍型疲労骨折,足関節内果疲労骨折,第5中足骨の近位骨幹端疲労骨折および舟状骨疲労骨折である。処方は,基本的にはNSAIDsの消炎鎮痛薬が中心である。一手目として,消化器への副作用の少ないアセトアミノフェン類を用いる。これが効果のない場合は,ロキソプロフェンナトリウム水和物がよい。ただ,消化器への副作用を考慮し,H2受容体拮抗薬などを併用するとよい。

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