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2014年総選挙の自公大勝で医療政策はどう変わるか? [深層を読む・真相を解く(39)]

No.4732 (2015年01月03日発行) P.10

二木 立 (日本福祉大学学長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-14

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  • 12月の衆議院議員総選挙では、事前の予想通り、自民党・公明党が3分の2を超える議席を獲得して大勝し、安倍政権が継続することになりました(ただし、2013年参議院議員選挙と比べると、比例での両党の得票数・得票率は共に低下しています)。本稿では今後の医療政策について予測します。結論的に言えば、医療政策の基調は変わらないが、公的医療費抑制政策の徹底と医療への市場原理の部分的導入の拡大はさらに強化されると思います。医療提供体制については、医療・介護総合確保法等に基づく改革が進み、政策変更がないことは確実です。

    消費増税の延期で医療・介護財源は圧縮

    まず、消費税率の8%から10%への再引き上げ(以下、消費増税)の2017年4月への延期により、2015年度は4500億円、2016年度は1兆4000億円も財源が不足し、当初予定されていた医療・介護改革の財源が大幅に圧縮されることは確実です。

    2015年度予算では、社会保障施策のうち、子育て施策が優先される反面、介護報酬は9年ぶりのマイナス改定(2〜3%)となり、国民健康保険を中心とする医療保険制度への公費負担拡充も見送られることは必至です。

    2016年度については、今後経済状況がよほど好転しない限り、診療報酬本体のマイナス改定が行われる可能性が濃厚です。2014年診療報酬改定では、薬価基準引き下げにより得られる財源を診療報酬に振り替えるという1972年以来40年間も続けられてきた慣行が否定されましたが、それが踏襲されると思います。私は、この財源は、社会保障制度改革プログラム法で規定されている国民健康保険への公費負担拡充に使われる可能性が大きいと思います。

    これを契機にして、診療報酬以外の医療保障の財源確保のため、薬価基準の引き下げ圧力がさらに強まることは確実です。2017年に消費増税が実施されれば、2016〜18年の3年連続の薬価基準引き下げとなることはほぼ確実で、その後、薬価基準の毎年改定が制度化される可能性も大きいと思います。

    次に、突然の国会解散・総選挙で棚上げされた一連の患者負担引き上げが早々と(2015年度から)実施される可能性も大きいと思います。具体的には、11月13日に厚生労働省が発表予定だったが、自民党の圧力で急遽中止された「医療保険制度改革試案」に含まれると言われていた以下の負担増です。

    ・後期高齢者の保険料軽減特例措置の廃止
    ・入院時食事療養費・入院時生活療養費の見直し
    ・‌紹介状なしの大病院受診時の定額自己負担導入 等

    ただし、これら負担増(の一部)は2015年4月の統一地方選挙後に先延ばしにされる可能性もあります。公明党は統一地方選挙を最も重視しており、選挙前の負担増に難色を示す可能性があるからです。

    これらの費用抑制効果は限られているため、早晩、市販品類似薬の保険外しや外来受診時定額負担が導入される可能性もあります。これらは、2014年10月8日の財政制度等審議会財政制度分科会に財務省主計局が提出した資料にも明記されていました。この資料では、先発品と後発品の差額を自己負担とする参照価格制度の検討も示唆されていました。

    残り2,080文字あります

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