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特集:コロナ禍の診療所経営─患者数減少にどう対応するか

No.5068 (2021年06月12日発行) P.18

小松大介 (メディヴァ取締役)

登録日: 2021-06-11

最終更新日: 2021-06-09

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小松大介
神奈川県出身。マッキンゼー・アンド・カンパニー卒業後,(株)メディヴァを共同創業。数多くの病院・診療所・介護施設の戦略策定,経営再生を手がけ,コンサルティング部門のリーダーを務める。

1 新型コロナが診療所経営に与えた影響

2020年に急速に感染拡大した新型コロナウイルスは,診療所経営に多大な影響を及ぼしました。診療所(有床+無床)の医業収入は,2020年4~5月に前年同月比で▲15%ほど減収,その後徐々に改善し,10月には前年同月比並みに転じましたが,11~1月は▲5~8%と再び減収となっていたことが明らかとなりました。
診療科別では,風邪などの急性感染症が多い小児科・耳鼻咽喉科が受けた影響が大きくなりました。また,在宅ワークの増加により,都心やオフィス街の医療機関が受けた影響も大きくなりました。
今後の見通しについては,新型コロナウイルスのワクチン接種の動向にもよりますが,おそらくは最低でもあと1年間,何らかの影響が続くと考えるべきです。今後も日本全体で感染拡大抑止対策が続くと,その結果,感染症全般の患者数減少が続くことになります。また患者さんの受診抑制も継続する可能性があるため,平均として▲5~10%程度の減収は覚悟したほうがよいと考えています。

2 コロナ禍における診療所経営の考え方

コロナ禍において診療所がとるべき対策を考える際,大事なのは「すべての患者さんがコロナ禍で減ったわけではない」という視点です。
たとえば重症度×緊急度というセグメンテーションで考えると,重症度,緊急度ともに高い患者さんについてはコロナ禍でも一切減っていませんし,医療機関も優先して対応を進めてきました。一方で,重症度,緊急度ともに低い患者さんについては,そもそも風邪や胃腸炎にかからないとか,軽症のため自宅療養に切り替えて受診しないといったことで,患者さんの減少が顕著なセグメントとなっています。
コロナ禍における診療所経営を考えるにあたっては,こうした「減ってしまった/また,当面戻ってこない患者」ではなく,「減らなかった/現在も来院し続けている患者」に着目することが重要です。つまり,コロナ禍で生き残る診療所経営を実現するためには,次のような視点が重要だと考えています。
①中長期的に医療需要の減少が見込まれるが,すべてのセグメントではない
②各医療機関別に見ても,この間も減らなかった患者さん,すぐに戻ってきた患者さんは存在している
③コロナ禍を機に,各医療機関が自らの役割を再定義し,必要とされる医療提供に注力しつつ,経営を維持するための方向性を見出すべきと考える

3 コロナ禍における対応策

中長期的なコロナ禍の影響を見越して,各診療所がとるべき対策は,次の3点となります。
①筋肉質な経営
②集患強化
③資金繰りの安定化
中長期的に収益が減ることを見越して,まずは「筋肉質な経営」によって収益減でも利益が出る経営を実現し,その上でコロナ禍に負けずに,患者さんに来院してもらえる強みをきちんとアピールして,「集患強化」につなげます。そして,これらの動きには一定の時間と費用がかかるため,一定期間(たとえば1年間),収支構造が変わらなくても大丈夫な資金を確保しておく(「資金繰りの安定化」)ということも重要です。
これらの対策によって,コロナ禍を乗り切っていってもらえたらと考えています。

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