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新型コロナによる休業も給付対象 保団連独自の休業保障制度【まとめてみました】

No.5061 (2021年04月24日発行) P.14

登録日: 2021-04-22

最終更新日: 2021-04-22

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新型コロナウイルスの感染拡大が長引く中、医療従事者は感染リスクに晒されながら現場の最前線でウイルスと闘っている。過酷な労働環境に加え、医療従事者への偏見や差別は後を絶たず、体調やメンタルヘルスに支障をきたすケースが増えている。こうした状況において、医師の生活や権利を守るために政府への働きかけを積極的に行っているのが、各都道府県にある保険医協会だ。本欄では、現場の医師の要望を実現に導くために活動を続ける全国保険医団体連合会(保団連)が展開する様々な取り組みと独自の休業保障制度について解説する。

保険医協会は、戦後の混乱の中、誰でも安心して医療を受けられる医療制度を確立するために、各地の医師や歯科医師たちが立ち上がり、自主的な活動を始めたことが源流となっている。その後、1961年に国民皆保険制度が実現したことを機に、「保険医の経営、生活ならびに権利を守ること」「保険で良い医療の充実・改善を通じて国民医療を守ること」を目的とし、各地の医科・歯科の保険医が自主的に集まり保険医協会・保険医会を結成。1969年には全国組織として全国保険医団体連合会(保団連)が結成されることになった。

現在は全国47都道府県に51の保険医協会・保険医会が結成され、保団連に加盟している。医師は6万5004人、歯科医師4万2405人と合わせ10万7409人の会員数を擁する団体に成長した。

保団連は保険医協会・保険医会の全国組織として活動を開始以来、国政に対して医療・社会保障制度の充実を求める様々な働きかけを行ってきた。診療報酬の引上げ、合理的な医業税制の確立、不当な審査・指導の改善など、多岐にわたる保険医の要求実現に向けて活動してきた歴史がある。

1989年には「開業医宣言」を採択。全人的医療、対話の重視、医療機関連携など地域に根ざし、質の高い医療を提供するための行動指針を提言した。

 

保険医の要求に基づいて自由な活動を展開

医療団体の全国組織の代表的存在である日本医師会と保団連の違いは何か。医師会は定款で医道の高揚、学術の発達・普及、公衆衛生の向上を目的に掲げる学術団体で、行政の認可を受けて設立され、行政の監督を受ける公益社団法人という性格を持ち、行政関連の公衆衛生業務を主たる事業としている。

一方保団連は、「保険医の生活と権利を守ること」と「国民医療の向上をはかること」を目的とする自主的な団体。これまで、保険医の要求に基づいて自由な事業や活動を行ってきた。入退会は自由で、会の運営は会員の創意によってすすめられている。また、医師と歯科医師が一緒に活動していることも大きな特徴となっている。

保団連・保険医協会では医療制度の改善に向けた働きかけに加えて、2年ごとの診療報酬改定時には、医科、歯科の改定内容をわかりやすく解説したテキストを発行、全国400カ所以上で「新点数検討会(説明会)」を開催している。説明会では背景にある政府の狙いも明らかにしながら、国民皆保険制度を医療従事者・患者にとってより良い仕組みにしていくための方向性を示している。

不当な指導・監査の改善を申し入れ

保険請求については、レセプト業務における会員からの問い合わせに対し各都道府県の保険医協会・保険医会が回答。複雑な医療保険の仕組みの正しい理解を促すため「医療事務講習会」などスタッフ向けの講座も開催している。

また医院経営者、管理者として必要な知識をまとめたテキストなどを利用して、確定申告や財産運用など税務対策や税務調査、法律、労務などの相談会や講習会なども開催。

開業医にとって悩ましい指導・監査を巡っては個別指導時の弁護士帯同・録音の実施、審査申し合わせの公開や医療機関への返戻・減点理由を詳細に明示させる申し入れなどに取り組んでいる。日常の留意点をまとめたテキストなどを利用して、審査、指導、監査に関する講習会を開催するなど、日常的に相談が可能な体制をとっている。

このほか日常診療を向上させるための研究会活動、「全国保険医新聞」「月刊保団連」の出版など多岐にわたる活動を行っている。

最大で通算730日まで給付の休業保障保険

結成間もない1969年5月には、病気やケガなどへの備えが必要という考えから、独自の休業保障制度を開始している。現在は全国保険医休業保障共済会が会員向けに充実した内容の休業保障制度()を運営。同会の休業保障制度の特徴は、非営利団体として運営しており、掛金が加入時から満期(75歳)まで上がらず一定で、加入しやすい点にある。

休業保障全体を見ると、悪性新生物に対する給付が増加傾向にあり、給付の約7割が自宅療養への給付となっている。療養の長期化を受け、給付限度は傷病休業給付金500日、長期療養給付金230日で、通算730日まで連続で給付を受けることができる。

また所得補償保険など他の制度の加入状況に関係なく給付される点も魅力。新型コロナウイルス感染症による休業も給付の対象となっており、20年5月~21年2月までの間に感染疑いを含めると82件への給付実績がある。加入日は毎年8月1日からで2021年の申し込みは4月1日から開始、締切は5月25日となっている。

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