日本病院会、全日本病院協会、日本私立医科大学協会など15の病院団体で構成される日本病院団体協議会(日病協)は7月16日、福岡資麿厚生労働相宛の「令和8年度(2026年度)診療報酬改定に係る要望書【第2報】」を取りまとめ、厚労省保険局の林修一郎医療課長に手渡した。日病協は4月に入院基本料の引上げや物価高騰や人件費高騰に適切に対応する仕組みの導入などを盛り込んだ総論的な要望を第1報として福岡厚労相に提出。今回の第2報は具体的な評価のあり方に踏み込んだ内容となっている。
要望書は、物価高騰、人件費高騰が続き病院経営はさらに深刻な状況へと悪化しているとした上で、このまま診療報酬が上がらなければ「助かるべき命が助からない」と医療崩壊への懸念を強調。基本的な入院料の引上げとともに、13項目(下表)にわたる評価の見直しと新点数の創設が盛り込まれている。
「重症度、医療・看護必要度」を巡っては、2024年度改定における評価項目の見直しについて内科系の急性期患者が評価されにくいと指摘。内科系の重症度を的確に評価する指標の必要性を訴え、評価の見直しを求めた。
高齢者救急、高齢急性期患者に対応する病棟機能として2024年度改定で新設された地域包括医療病棟入院料については「施設基準が非常に厳しい」と指摘。急性期一般入院料1の要件を満たせなくなった病棟の受け皿としての評価にやや偏っていると現状を分析し、より積極的に高齢者救急、高齢急性期患者の受け入れが可能となるよう適切な施設基準の見直しを求めた。
1. 重症度、医療・看護必要度について内科系急性期患者の適切な評価の見直し
2. 高齢急性期患者の受け入れに適切に機能する地域包括医療病棟入院料の見直し
3. 介護専門職(介護福祉士)配置、介護を行う看護補助者の更なる評価と配置要件の拡大
4. 精神病床における身体疾患やリハビリテーション、権利擁護等への対応に係る医療資源投入への適切な評価
5. 外来・在宅ベースアップ、入院ベースアップ評価料の適切な評価の見直しと、全職種を対象へ
6. 在宅救急患者の受入と下り搬送受入側に関する、包括期・慢性期医療への評価
7. 地域医療提供体制確保加算 救急車1,000台以上でも評価する仕組み
8. 医師事務作業補助体制加算の更なる評価
9. 医療DX推進に係る、実質を反映する更なる評価
10. 医師の働き方改革に係る「宿日直許可基準」の取扱いと特定集中治療室の医師要件の緩和
11. 内視鏡手術支援機器を用いる手術及びロボット手術(ダヴィンチ、ヒノトリ等)の評価
12. 加算として取り扱われる医療材料等の評価の見直し
13. 高額医薬品管理料の新設
要望書を林医療課長(右から2人目)に手渡す望月泉議長