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施設での在宅医療─施設を取り巻く社会に目を向ける[プライマリ・ケアの理論と実践(94)]

No.5055 (2021年03月13日発行) P.12

井口真紀子 (上智大学大学院実践宗教学研究科死生学専攻博士後期課程)

登録日: 2021-03-11

最終更新日: 2021-03-10

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SUMMARY
施設診療では関係者が多く,意思決定支援に難渋することも多い。しかし視野を社会に広げ,施設側の事情も理解しながら日々丁寧に関わることで個々の意思決定支援の質の向上につなげることができる。

KEYWORD
施設の意向
時に医療と施設の意向は食い違うが,その背景には高齢化社会,日本の経済状況,その中で介護がどのように扱われているかという構造的な問題が隠れている。

井口真紀子(上智大学大学院実践宗教学研究科死生学専攻博士後期課程)

PROFILE
地域医療振興協会での総合診療経験を経て,都内で在宅医療に従事。現在は上智大学大学院実践宗教学研究科の大学院生として死生学の研究を行っている。家庭医療専門医・指導医,在宅医療専門医・指導医。修士(文学)。

POLICY・座右の銘
万物は流転する

1 はじめに

施設診療の最大の特徴は,意思決定に施設の意向や管理体制が大きく影響することである。施設は医療施設とは違う論理で動くことが多く,その違いが軋轢を生むこともある。そのようなときに我々はどう考えたらよいのか。プライマリ・ケア医は目の前の患者個人だけでなく,家族や地域,社会まで視野に入れて関わる(図1)。
本稿では少し視野を広げ,施設を取り巻く構造的問題を概観した上で,医療者にできる具体的な行動を提案する。

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