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CKD合併慢性心不全患者における五苓散の有用性と安全性

No.5046 (2021年01月09日発行) P.49

川原隆道  (東邦大学医療センター大森病院客員講師/ 東京西徳洲会病院循環器内科医長)

田中耕一郎 (東邦大学医療センター大森病院東洋医学科准教授)

登録日: 2021-01-06

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 【五苓散はCKD合併慢性心不全患者の症状,所見を改善し,有害事象は認めなかった】

心不全に対する西洋医学的治療は薬物療法,心臓再同期療法や運動療法,和温療法,手術療法等の非薬物的治療においてエビデンスが確立されつつある。近年,心腎連関の概念が提唱されているように,心臓と腎臓は血行動態や神経体液性因子を介して密接に関連し,心不全患者はしばしば腎機能障害を合併する。わが国における慢性心不全患者の大規模観察研究では慢性腎臓病(CKD)の合併頻度は47.3~71.0%と高く,eGFRの低下により心不全患者の生存率は低下し,eGFRは心不全患者の重要な独立した予後規定因子である。

しかし,CKD合併心不全患者の治療に関するエビデンスは確立されておらず,このようなCKD合併心不全患者に対しての標準治療への漢方薬の追加治療の安全性と有用性も明らかではない。

今回,当院において過去2年間に,標準治療の効果が不十分であり五苓散7.5g/日を追加投与したstage Ⅲ以上のCKD合併心不全患者20名を後ろ向きに検討した1)。11名で息切れや浮腫などの症状,胸部X線でのうっ血や胸水は改善し,血清BNPも低下し心不全の改善を認めた。また,腎機能,血漿浸透圧の悪化は認めず,臨床的に問題となる電解質悪化も認めなかった。CKD合併心不全患者に対する標準治療に加えた五苓散投与は安全かつ有用である可能性が示唆され,今後のさらなる検討が望まれる。

【文献】

1) 川原隆道, 他:日東洋医誌. 2019;70(1):57-64.

【解説】

川原隆道  東邦大学医療センター大森病院客員講師/ 東京西徳洲会病院循環器内科医長

田中耕一郎 東邦大学医療センター大森病院東洋医学科准教授

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