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働き方の変革と支援のありかた [炉辺閑話]

No.5045 (2021年01月02日発行) P.19

諏訪園 靖 (千葉大学大学院医学研究院環境労働衛生学教授)

登録日: 2020-12-30

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日本は、戦後から1960年代まで高度経済成長の時代であった。その後鈍化した成長に対し、80年代に積極的な内需振興策がとられ、株価や地価など物価が急騰した。90年代にバブルが崩壊し、長期の経済停滞となった。海外資本を受け入れ、生産拠点も海外に移転しグローバル化が進んでいった。そして現在、巨大情報産業による情報社会の進化と普及が進み、アジア諸国の情報機器生産、技術の進展もめざましい。日本の労働のあり方も、モバイル端末やネットワークの普及、データのクラウド化、テレワークなど、新しいツールを駆使し、高品質かつ迅速な仕事が求められつつある。さらに、この度の新型コロナウイルスの流行から、遠隔会議システムが普及し、あらゆる場所での労働提供が一気に現実のものとなった。その流行の影響は大きく、4~6月のGDPは年率換算で3割弱の減少となったが、2014年以降、積極的な金融緩和と財政政策が実施され、景気回復による雇用環境改善の動きが見えつつあった。

日本人労働者の年間労働時間は平成5年1920時間から、平成30年1706時間と緩やかに減少している。また、近年、男女とも就業者数・雇用者数は増加しており、特に女性において伸びが大きい。一方、日本の週50時間以上の長時間労働者の割合は、2018年37カ国中、メキシコ(28.5%)、フィリピン(23.5%)、タイ(21.8%)、米国(19.2%)に次いで19.0%と、減少しつつあるが、まだ多い国のひとつである。このような状況の中、社会の持続性のためにも、安心して次世代を産み育てていく環境の整備が必須である。また、非正規雇用、女性就労に対するキャリア形成と子育ての両立支援、テレワークなどの新しい働き方の影響と対策等、課題は多い。今後は技術的労働が中心となり、AIなどの情報技術を応用して、いかに労働の価値を高めていくか、そのための教育も重要である。産業保健分野に携わるものとして、働き方の支援について、多くの関係者と連携し検討を深めていきたい。

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