株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

特集:神経伝導検査の始め方

No.5027 (2020年08月29日発行) P.18

黒川勝己 (川崎医科大学総合医療センター脳神経内科副部長)

登録日: 2020-08-28

最終更新日: 2020-08-27

  • このエントリーをはてなブックマークに追加


1989年広島大学医学部卒業。同大学第三内科入局。寺岡記念病院,川崎医科大学,広島市立安佐市民病院・広島市民病院,大田記念病院勤務。2019年現職

1 神経伝導検査(NCS)を活用するために
神経伝導検査(NCS)はニューロパチー患者の診断に留まらず,多くの患者において有用性がある。したがって,日常的に施行されるべき検査だと考える。ただし,NCSを適切に施行し,正しく評価することは,実は簡単ではない。そこには専門性があり,やりがいがあると思う。
本特集では,まずNCSの一般的な方法と注意点を述べ,続いてルーチンで行うNCSの実技を記載する。次に,NCSはどのような患者で行うべきか,何がわかるかを述べ,最後に症例を通して,NCSの結果をどのように解釈・評価していくかを示す。

2 NCSの一般的な方法と注意点
NCSには,運動神経伝導検査(MCS)と感覚神経伝導検査(SCS)がある。

(1)MCS
MCSでは,運動神経を電気的に刺激し,それによって生じる筋肉の活動電位〔複合筋活動電位(CMAP)〕を記録する。同じ神経を異なる部位で刺激して,複数のCMAPを記録する。2つのCMAPを用いて,神経伝導速度を求めることができる。筋電計の設定,記録電極,刺激電極,パラメーターについてのポイントを述べる。

●F波
F波は,運動神経を電気刺激した際に,CMAPのあとに出現する電位である。
F波は,運動神経を電気刺激した際に生じた神経活動電位が,運動神経を逆行性に伝導し,脊髄前角細胞を興奮させて,今度は順行性に運動神経を伝導し,誘発された筋肉活動電位である。

(2)SCS
SCSでは,感覚神経を刺激し,それによって生じる感覚神経の活動電位〔感覚神経活動電位(SNAP)〕が伝導してきたものを,感覚神経上で記録する。
SNAPを刺激部位よりも近位の神経幹上で記録する方法は,生理的な伝導方向に一致しているため「順行法」と呼ばれる。反対に,SNAPを刺激部位よりも遠位の神経幹上で記録する方法は「逆行法」と呼ばれる。
記録電極,刺激電極,パラメーターについてのポイントを記載する

3 ルーチンで行うNCSの実際の手技
MCSでは,正中,尺骨,脛骨および腓骨神経の手技を示す。
SCSでは,正中,尺骨および腓腹神経の手技を記載する。

4 NCSはどのような患者に施行するのか? 何がわかるのか?
NCSはどのような患者に施行するのか? もちろん末梢神経障害が疑われる患者に対して施行する。しかし,そのような患者だけではなく,患者が筋力低下や感覚低下を訴えていて,その責任病巣がどこにあるかが確定していない場合,最初の評価手法としてNCSを施行すべきである。

(1)末梢神経障害が疑われる患者
手足の筋力低下や感覚低下を訴えていて,神経学的診察にて末梢神経障害が疑われた場合には,NCSを施行する。ニューロパチーの存在の確認,末梢神経障害の病態(軸索障害なのか脱髄なのか)の推測,末梢神経での局在診断,フォローアップ・予後判断などができる。

(2)運動・感覚障害の責任病巣が確定していない患者
患者が運動障害(筋力低下)や感覚障害(感覚低下)を訴えているが,その責任病巣がどこにあるかが確定していない場合,診断の最初の手がかりとしてNCSは大変有用である。
運動障害(筋力低下)では,筋力とCMAPの振幅を比較し,感覚障害(感覚低下)では,感覚とSNAPの振幅を比較することにより,病態を絞ることができる。したがって,筋力低下・感覚低下を認める患者では,最初の評価としてNCSを施行すべきである。

プレミアム会員向けコンテンツです(期間限定で無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 脳神経外科・一般外科・呼吸器内科・循環器内科・神経内科・泌尿器科 各1名、消化器内科 2名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。長崎県島原半島の西部地区に位置し、二次救急医療体制の救急告示病院として救急患者を受け入れています。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
3階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。
医療から介護までの医療設備等環境は整いましたので脳神経外科医、一般外科医、呼吸器内科医、循環器内科医、神経内科医、消化器内科医の先生に常勤医師として、地域に信頼される病院を一緒に築いていただける医師をお待ちしております。
また、新たに透析治療ベッド数15床を開始致しました。将来は、ベッド数を25床に増床することを計画しています。泌尿器科(腎臓内科)医の先生を募集し、新病院の充実を図ってまいります。

もっと見る

関連物件情報

page top