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安定型狭心症に対する経皮的冠動脈インターベンションの適応

No.5018 (2020年06月27日発行) P.48

高野仁司  (日本医科大学循環器内科准教授)

登録日: 2020-06-30

最終更新日: 2020-06-23

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 【虚血を証明した上で施行することが重要】

狭心症・心筋梗塞などの冠動脈疾患に対して広く行われている治療に,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)がある。症状が安定している狭心症患者に対するPCIの臨床効果は議論の余地があるとされていた。

従来は冠動脈造影75%以上の狭窄がPCIの適応とされてきたが,2018年4月から保険適用が改定された。安定狭心症では,①一方向から造影して90%以上の狭窄病変である場合,②安定労作性狭心症の原因と考えられる狭窄病変に対し治療を行う場合(ただし,ほかに有意狭窄病変を認めない場合に限る),③機能的虚血の評価のための検査を実施し,機能的虚血の原因と確認されている狭窄病変の場合,のいずれか1つを含む場合がPCIの適応となる。

ORBITA試験では,70%以上の狭窄病変を有する有症候性の安定狭心症患者に対し,PCIを施行した群と,疑似手術を行い薬物療法を施した群にランダム化二重盲検試験を行い運動対応能の改善を比較したが,有意差が認められなかった1)。一方で,FAME2試験の5年追跡では,冠血流予備比が0.8未満に低下し機能的虚血が証明された患者においては,PCIが薬物療法に比し心血管イベントを抑制することが示されている2)。安定狭心症患者に対するPCIは,虚血を証明した上で施行することが重要となる。

【文献】

1) Al-Lamee R, et al:Lancet. 2018;391(10115): 31-40.

2) Xaplanteris P, et al:N Engl J Med. 2018;379 (3):250-9.

【解説】

高野仁司 日本医科大学循環器内科准教授

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