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診断とAIとの協働,現状と未来展望─AIに診断力を奪われるのではなく,AIにより診断力を強化する時代へ[プライマリ・ケアの理論と実践(57)]

No.5006 (2020年04月04日発行) P.14

原田侑典 (獨協医科大学病院総合診療科)

登録日: 2020-04-02

最終更新日: 2020-04-01

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SUMMARY
優れた診断能力を有するために不可欠な「卓越した直観力」や「卓越した分析力」を備えた診断支援AIが開発されており,今後はAIを有効に活用して診断能力を強化することが医師に必須の技術となる。

KEYWORD
拡張知能
人工知能(artificial intelligence)は人間と対立するものとしてとらえるのではなく,人間の知能を拡張させるもの(augmented intelligence)であるととらえた考え方のこと。


原田侑典(獨協医科大学病院総合診療科)

PROFILE
2010年に東京医科歯科大学卒業。2015年まで長野中央病院で初期・後期研修した後に1年間ドイツハートセンターミュンヘンで臨床研究フェローとして学び,2016年から現職。

POLICY・座右の銘
継続は力なり

1 診断学の現状とAIへの期待

安全な医療の実現には診断の質の向上が欠かせない。近年,診断の質の向上に関する研究が進んだが,多くは大きな診断エラー(診断の遅れ,見逃し,間違い)を防ぐことを目指した「守り」のシステムの構築が主体であり,より少ない負担と短い時間で診断にたどり着く「高価値医療」や,医師の経験・知識や医療資源の差によらずに質の高い診断にたどり着く「標準化された医療」の実現など,積極的に診断を支援する「攻め」のシステムの構築は遅れていた。この「攻め」のシステムの構築において,重要な役割を期待されているのが人工知能(artificial intelligence:AI)である。

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