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ガイドさんは命がけなのだ [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(19)]

No.4716 (2014年09月13日発行) P.71

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-24

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  • モンブラン登山(8月23日号参照)では、麓の町シャモニーのガイドさんのお世話になった。そのプロとしての権限と責任には驚いた。登山前の用具チェックで不備があると、スポーツ用品店へ走らされる。雪上歩行訓練で体力や技術が少しでも不足していると判断されれば、モンブランはあきらめさせられる。文句は一切つけさせない。

    毅然たる態度に感動した。一方で、いくらなんでも厳しすぎるのではないかとも思った。しかし、実際に一緒に登って、その考えが間違いであることがわかった。

    モンブランは登頂できなかったが、「せっかくやし、ロッククライミングをしてみたいんやけど、できるやろうか」と尋ねた(←もちろん英語で)。その答えは「いけるやろ(feasible)」というものだった。

    よし、それならと思って挑戦した。が、後から思えば、登れたとはいえ、コスミック山稜は明らかに実力以上の岩壁であった。なんせ、進退窮まったかと泣きそうになったことが2回。その上、一度はちょっと滑落してヘルメット越しに後頭部を強打。

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