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パワーあふれる『おばちゃん』に学ぶ [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(13)]

No.4708 (2014年07月19日発行) P.72

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-28

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  • それは偶然に始まった。私がノンフィクションフリークであることを知っているある人から「今なにを読んでおられるのですか」と尋ねられた。

    「これ、むちゃくちゃおもろいんですわ」とカバンから取り出したのが『フィリピンの小さな産院から』(石風社)。しばらくして、その人から「著者の冨田江里子さんの講演会を開きましょう」というメールがきた。

    ん?どういうこっちゃ?と「?」を頭に浮かべながら、持ち前の「いっちょかみ」精神がわいてきた。一丁噛み。大阪弁で、なんにでもクビをつっこみたがる、ちょっとうっとうしい奴を指す言葉である。そして講演会を開催することに。

    マニラから北へ車で3時間ほどのスービックは、ゴミの山があって、貧しい人と少し豊かな人が住む、フィリピンではどこにでもあるような町の一つである。冨田さんは、そこで、トラウベ(胎児の心音を聞くための木製の筒)だけを頼りに、非公認(!)の産院をたった1人で運営しておられる、大阪出身らしい明るくてガッツあふれる「おばちゃん」(スンマセン)だ。

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