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ザルツブルク、ウィーンを旅して[炉辺閑話]

No.4993 (2020年01月04日発行) P.73

鶴田憲一 (全国衛生部長会会長(静岡県理事))

登録日: 2020-01-05

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静岡県の勤務も10年を迎えると、長期的な視点のない、無責任な振る舞いに三国志の范増の言「豎子、与に謀るに足らず」の思いを抱くこともある。こうした中、妻のたっての希望で、昨年9月末に8日間の日程でサウンド・オブ・ミュージックの舞台であるザルツブルク、ハプスブルク家が本拠としたウィーンを訪れた。ザルツマンマーグートの遊覧、メルク修道院からはドナウ川ヴァッハウ渓谷の船旅等、大自然を満喫し、多くの世界遺産も見学した。ヨーロッパ田園地帯の自然にはゆったりとした時間の流れがあり、心が癒され、潤いが感じられる。

これまでも大学院の研究成果を発表するためイタリア、スイス、フランス、スペインにひと月滞在し、ローマ、フィレンツェのローマ帝国の遺産、ノートルダム大聖堂、ルーヴル美術館、プラド美術館、ピカソ美術館をみて感動した。ヒトゲノム計画関連会議、陽子線治療装置の調査等の公務や、娘夫婦がミュンスターに留学していたこともあり、何度も訪問しているが、行く度に新たな発見と歴史の重みを感じている。今回もナポレオンがハプスブルク家の娘と結婚し、息子はシェーンブルン宮殿に幽閉されたまま、若くして結核で亡くなったことを初めて知った。

世界的に異常気象が頻発する中、日本は記録的な猛暑と豪雨に見舞われたが、現地では帰国する日を除いて快晴に恵まれた。少し前は暑く、少し後では寒くなるので、今は行くタイミングが大事である。テレビではスウェーデン人のグレタ・トゥーンベリさんをはじめとした若者の環境保護活動、国連気候行動サミットでの演説、香港での若者たちの自由を守る活動が報道されていた。世界情勢は自国中心主義で人格的にも問題だと感じる指導者が多くなり、きな臭くなっているが、我々が快適な生活を送る上では安定した地球環境の保全が大事である。30年前に担当した地球環境問題は喫緊の問題となっており、こうした待ったなしの問題に対する若い世代の変革に向けた活躍を期待したい。

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