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無症候のBrugada症候群の患者のリスク評価について

No.4970 (2019年07月27日発行) P.47

副島京子 (杏林大学医学部循環器内科教授)

中野由紀子 (広島大学大学院医歯薬保健学研究科 循環器内科学准教授)

登録日: 2019-07-28

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  • 無症候のBrugada症候群の患者のリスク評価に関して,どのような項目がリスク評価に用いられるのでしょうか。リスクスコアに関してご教示下さい。また,治療の選択―植込み型除細動器(ICD),カテーテルアブレーション,今後のiPSによる治療などについて,広島大学・中野由紀子先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    副島京子 杏林大学医学部循環器内科教授


    【回答】

    【ICD植込みの適応の決定や突然死予防のために非常に重要】

    Brugada症候群は右側前胸部誘導で典型的なタイプ1 Brugada型心電図を示す遺伝性不整脈疾患で,普段はまったく無症状ですが,一部の症例で心室細動(ventricular fibrillation:VF)を発症し致死的となることからポックリ病と言われています。無症候のBrugada症候群のうち,FI NGER Brugada syndrome registryでは1.5%(年率0.5%)に,わが国のJ-IVF registryでも1.1%(年率0.3%)にVFを発症したと報告されています。

    Brugada症候群は心電図診断が可能な疾患であり,無症候例で将来的にVFの発症を予測することは,植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator:ICD)植込みの適応の決定や突然死予防のために非常に重要です。失神歴,突然死の家族歴,電気生理学的検査でのVF誘発,自然発症タイプ1心電図,T-peak to T-end(以下,Tp-Te)dispersion,QRS幅,r-J interval,fragmented QRSなど,数多くの臨床的指標・心電図学的指標がVF発症と関与することが報告されてきましたが,単一の指標を用いて,Brugada症候群におけるVF発症ハイリスク症例を完全に予測することは困難です。

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