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乳児ボツリヌス症─弛緩性麻痺児をみたら念頭に置く[プラタナス]

No.4963 (2019年06月08日発行) P.3

赤坂真奈美 (岩手医科大学小児科講師)

登録日: 2019-06-08

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  • 乳児ボツリヌス症は日本では稀な疾患で、実際に診察をしたことのある小児科医は少ないことでしょう。“知らない疾患の診断は困難だが、症候から疾患を疑い、念頭に置きさえすれば不要な検査をせずに早期診断が可能となる”これを痛感した2症例を、皆様と共有したいと思います。

    症例1は10カ月の男児。発症前まで発達は正常で、感冒症状ののち頸定、坐位の順に不安定になり哺乳不良となりました。口内乾燥が著明で、眼瞼は下垂し、泣き声が弱く、涙が出ないのが印象的でした。脱水を疑い、点滴をしましたが症状の改善なし。眼瞼を挙上すると、瞳孔は散大し、対光反射は鈍でした。重症筋無力症を疑いましたが日内変動がありません。次に急性脳症を疑い、頭部画像・髄液・脳波検査などを行いましたが異常はありません。

    原因不明のまま四肢の弛緩性麻痺が下向性に進行し、寝たきりとなり、ついに徐脈と呼吸停止をきたしました。緊急気管挿管をし人工呼吸器を装着して2週間が経過した頃、上記症状に加え、わずかに見えた視線が私を見ていたこと、脳波が正常で意識障害がないこと、入院前からの頑固な便秘が改善しないことから、やっと乳児ボツリヌス症を疑いました。確定診断のための便採取は、通常の浣腸では出ず、洗腸が必要でした。

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