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一通の手紙[プラタナス]

No.4958 (2019年05月04日発行) P.3

宮岡 等 (北里大学東病院病院長 北里大学医学部精神科主任教授)

登録日: 2019-05-06

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  • 25年位も前になると思う。精神科医である筆者が、A病院に勤務している時、一通の手紙が届いた。それには以下のようなことが書かれていた。

    “「学校に行けない」という理由で両親に連れられて、3年位前にB病院(筆者がA病院前に勤務)で、先生に初診で、一回だけみてもらいました。先生は「登校できないのは家族全体の問題を、君がひとりで背負ってるのかもしれない。家族みんなが問題を分かちあってもつようにしたいね」というような意味のことを、両親と私の前で言ってくれました。あの後、両親もいろいろ話し合ったみたいだし、僕と話す時間も増えました。そのうちに何となく気持ちが楽になって、半年後くらいには学校に行けるようになりました。お礼を言いたくて先生の異動先を探して手紙を出しました。”

    もちろん医師を喜ばせようとして書いた部分もあろうし、すべてがうまく進んでいるとは思わない。ただ筆者の異動先まで探して礼状をくれた気持ちはうれしかった。

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