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成人肺炎診療ガイドライン2017[ガイドライン ココだけおさえる]

No.4936 (2018年12月01日発行) P.48

今村圭文 (長崎大学病院第二内科呼吸器内科・感染症内科講師)

河野 茂 (長崎大学学長)

登録日: 2018-11-30

最終更新日: 2018-11-27

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  • 主な改訂ポイント〜どこが変わったか

    1 これまで3つにわかれていた成人肺炎診療ガイドラインが1つに統合され,「Minds診療ガイドラインの手引き」に準拠してガイドラインが作成された

    2 市中肺炎と,院内肺炎/医療・介護関連肺炎の大きく2つのフローで作成され,重症度,耐性菌リスク,疾患終末期・老衰・誤嚥性肺炎リスクなどを評価し,治療方針を決定する

    3 市中肺炎は,A-DROPスコアによる重症度判定とともに,敗血症の有無を確認し,治療方針を決定する

    4 院内肺炎/医療・介護関連肺炎は,I-ROADスコア,敗血症の確認による重症度の評価と耐性菌リスク評価により,治療方針を決定する

    5 システマティックレビューチームによりエビデンスが収集,解析,統合され,その結果を参考に投票によって推奨が決定された

    1 3つのガイドラインが1つに統合

    従来の成人肺炎診療ガイドラインは市中肺炎,院内肺炎,医療・介護関連肺炎の3つにわかれていた。歴史的には,「市中肺炎診療ガイドライン」が2000年に作成され,ついで02年に「院内肺炎診療ガイドライン」が作成された。肺炎の診療ガイドラインがこの2つに分類されていたのは,両者の原因菌と予後が大きく異なっているためである。

    市中肺炎と比較して,院内肺炎は緑膿菌やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)などの耐性菌が分離される頻度が高く,予後も不良である。一方,市中肺炎では耐性菌が原因菌となることは少なく,外来で治療を行うか入院による治療を行うか,という治療の場の選択や,細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別が重要である。「市中肺炎診療ガイドライン」では,07年の改訂の際に,A-DROPスコアを指標として治療の場を選択することが推奨され,「院内肺炎診療ガイドライン」も08年の改訂で,I-ROADスコアを用いてエンピリック治療薬を選択することが推奨された。

    その後,超高齢社会となったわが国においては,医療ケアや介護を受ける高齢者の肺炎が問題となった。従来の分類では対応が難しかった医療ケアや介護を受け,介護施設や療養型病院に入所(入院)していたり,入退院を繰り返したり,血液透析を受けているような患者について,耐性菌リスクや予後の面からは,市中肺炎と院内肺炎の中間的な性質を持っていることが明らかとなり,これらの患者に発症する肺炎を新たに医療・介護関連肺炎と分類することが提唱され,11年に「医療・介護関連肺炎診療ガイドライン」が作成された。

    これらの病態ごとに細分化した3つの肺炎診療ガイドラインがあることで,きめ細やかな対応が可能であるメリットがあったものの,非専門医や研修医などにはわかりにくく,また,各ガイドラインの改訂時期が異なるために,内容の統一性や一貫性にも違いが出てくる,というデメリットもあった。そこで,従来の3つの肺炎診療ガイドラインを1つに統合し,作成方法も世界的に最新かつ標準的な診療ガイドライン作成の手法が紹介されている「Minds診療ガイドラインの手引き」に準拠して作成した,新しい「成人肺炎診療ガイドライン2017」1)が17年4月に発表された。

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