団塊の世代が後期高齢者となる「2025年問題」が様々な切り口で取りあげられる昨今ですが、2025年問題は都市部の問題です。地方は今、切迫しています。金の卵と称された「団塊の世代」の「親世代」が、地方に大勢います。地方の医師は今、「親世代」の診療に忙殺されています。
その親世代は90歳台です。日常生活には様々な支援が必要です。受診の「足」の確保も容易ではありません。単科受診ですむことは少なく、診療所のハシゴもめずらしくありません。病院であれば、複数科受診がザラです。受診する医療機関が複数の場合、調剤薬局が複数となることもザラです。お薬手帳を複数持っている高齢者はけっこういます。当然、常用薬の管理がおろそかになります。子世代が親の常用薬をきちんと把握できていることは稀です。
地方の二次救急病院の消化器内科を担当していると、そのような高齢者が消化管出血で紹介される機会が増えています。中でも、抗血小板剤や抗凝固剤(以下『サラサラ』)を服用している高齢者の紹介が飛躍的に増加しています。むしろ、消化管出血での御紹介患者さんの大多数が、なにがしかの『サラサラ』を処方されています。
『サラサラ』の効能は、広く知られてきました。しかし、『サラサラ』の「リスク」への関心がいまだに薄く、非常に残念です。『サラサラ』自体が消化管潰瘍や消化管出血を惹起する機序が知られ始め、プロトンポンプ阻害薬の併用処方が浸透しはじめていることは、消化器内科医として非常に好ましい流れと受け止めています。
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