食道閉鎖症は,食道の連続性が途切れている先天性の疾患である。これは,胎生5~7週に前腸に気管-食道隔壁が形成され,分離する過程の異常と考えられている。多くの場合,上部食道が盲端に終わり,下部食道が気管に瘻孔としてつながる病態である。この病態はGross分類ではC型にあたり約90%を占め,ついで上部・下部食道がともに盲端に終わるA型が約8%とされる。発生頻度は出生3000に1例程度である。リスク分類としては,Spitzのリスク分類が知られており,重症心疾患の有無や出生体重が1500g以上か否かで予後が左右される。
胎児超音波検査や胎児MRI検査にて,羊水過多や胃の萎縮などの所見から約40%が出生前に診断可能とされている。出生後には,口腔・鼻腔からの泡沫状の唾液や,食道盲端で挿入した胃管が反転するcoil up signが特徴的である。また,心疾患,直腸肛門奇形,泌尿生殖器系の異常を合併することが多いため,これらの検査も必要である。
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