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(3)心臓の立場から[特集:脳−心−腎連関と認知症]

No.4927 (2018年09月29日発行) P.41

藤本 源 (奈良県西和医療センター循環器内科医長)

土肥直文 (奈良県西和医療センター副院長/循環器内科部長)

登録日: 2018-10-01

最終更新日: 2018-09-26

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心房細動患者に無症候性脳梗塞や認知症が多く,死亡率も高い

心房細動と認知症が関連する因子として,stroke後の血管性認知症,微小塞栓による無症候性脳梗塞,微小出血,脳血流の低下,炎症亢進が関与すると言われている

心房細動を持つ認知症患者は,血管性認知症のみならずアルツハイマー型認知症と診断されている例も多い

心房細動に対するカテーテルアブレーションの有用性が示されはじめた

1. 心血管疾患が脳に与える影響について

まず,心血管疾患が脳に与える影響と原因について述べる。より頻度が高く,重篤な脳梗塞をきたす疾患群として心原性脳塞栓症がある。心房細動,心筋梗塞後,拡張型心筋症,僧帽弁狭窄症,人工弁,感染性心内膜炎,心房中隔瘤,左房粘液腫などが原因となる。心房細動や心筋梗塞後,拡張型心筋症,僧帽弁狭窄症などは心房・心室の拡大や収縮能の低下,内皮機能の低下から血栓をきたすと言われている。そのほかに,下肢の深部静脈にできた血栓が飛来し,心房中隔欠損や卵円孔開存があった場合に奇異性塞栓として脳梗塞を起こすことも知られている。また,大動脈の壁在血栓による塞栓や大動脈解離により,内頸動脈や椎骨動脈系の血流障害が起こり,脳梗塞の要因となる。

以上は既によく知られていることであり,脳梗塞が血管性認知症の主体であることは言うまでもないが,脳卒中の既往のない心不全や心房細動患者に無症候性脳梗塞や認知症が多く発生していることに注目が集まっており,そこに焦点を当てて論じることとする。

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