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■NEWS 蘇生拒否の傷病者、過半の消防本部が経験―消防庁実態調査

No.4925 (2018年09月15日発行) P.19

登録日: 2018-09-10

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総務省消防庁は5日、全国728の消防本部を対象に実施した「心肺蘇生を望まない傷病者への救急隊の対応に関する実態調査」の集計結果(速報版)を公表した。傷病者本人が心肺蘇生を拒否する意思表示をしていたことを医師や家族等から伝えられた事案が「2017年中にあった」と回答した消防本部は403本部と過半を占め、件数を単純合計すると2015件に上った。

蘇生中止の意思表示の伝達方法(複数回答)では、「家族の証言」「介護施設等の職員の証言」「医師の口頭での指示」がそれぞれ200本部を超えており、「本人の意思を示した書面」は119本部、「医師の指示書」は44本部にとどまった。

消防本部による心肺蘇生を望まない傷病者への対応方針の策定状況については、「定めている」が332本部(45.6%)、「定めていない」が396本部(54.4%)だった。対応方針の形式では、「口頭での伝達のみ」が161本部(48.5%)と最も多く、「文書」が126本部(38.0%)となっている。方針の内容については、「蘇生拒否の意思表示が伝えられても蘇生を実施しながら搬送する」との回答が201本部に上り、医師からの指示など一定の条件の下で「蘇生を実施しない、または中断することができる」としたのは100本部となっている。

現行の消防法令では、救急隊員の業務として、傷病者が医師の管理下に置かれるまでの間に生命に危険が及ぶ恐れがある場合には応急処置を施すと規定しており、蘇生中止に当たっての明確な判断基準はない。消防庁は今後、「救急業務のあり方に関する検討会」の作業部会で議論を進め、来年1月頃の意見集約を目指す。

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