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【他科への手紙】救急科→在宅医療チーム

No.4924 (2018年09月08日発行) P.51

伊藤 香 (帝京大学医学部附属病院高度救急救命センター講師)

登録日: 2018-09-05

最終更新日: 2018-09-04

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  • 私は2005〜16年まで米国で外科・外科集中治療医として修練を積んできました。米国では国民の約40%が事前意思表示を保持しており、集中治療室で脆弱な高齢者に機能回復の見込めない集中治療を施すことは稀でした。

    当救命センターは、3次救急受け入れ件数が年間約2500名と、都内1位のハイボリュームセンターです。その40%が75歳以上の高齢者であり、彼らの院内死亡率は60%にも上ります。75歳以上の高齢者の死亡者の45%が救急車搬入後初療室でそのまま死亡しており、入院後2日目までに死亡しているケースは70%にもなります。

    このように現職場では、人生の最終段階にある脆弱な多くの高齢者が、明確な「事前意思表示」を持たないまま、施設で急変したり、自宅で倒れたりして、救急車で全力の心肺蘇生を行われながら搬入され、そのまま回復することなく亡くなっていきます。米国から帰国した直後はいちいち衝撃を受けていましたが、今となっては日常的な風景です。はたして患者は本当にこのような最期を望んでいたのだろうかと、想像を巡らせます。

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