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安定狭心症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-12
中尾一泰 (国立循環器病研究センター心臓血管内科部門冠疾患科)
安田 聡 (国立循環器病研究センター心臓血管内科部門長)
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  • ■疾患メモ

    冠血流の需要と供給インバランスにより生じた心筋虚血により引き起こされる,胸痛を主訴とする臨床症候群である。主に,心外膜の冠動脈の動脈硬化による器質的な狭窄による酸素供給の低下と,運動時など,酸素需要が増大する際に引き起こされる。心筋肥大,貧血や冠動脈のトーヌスの変化など様々な因子が病態を修飾しうる。

    疫学的には,男女ともに,高齢になるほど頻度が増えることが知られている。

    予後は,病態および患者背景などにより大きく異なるため,適切に評価および治療を行う必要がある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    安定狭心症の診断においては,症状の様式の聴取が大変重要である。

    典型的には,胸部圧迫感や絞扼感と表現される症状を訴える。

    症状は漸増漸減型で,活動の増大に伴い増悪し,活動の停止により数分で軽快することが一般的である。

    部位としては,主に胸骨中央部で訴えられることが多く,時に,左肩,両腕,頸部,心窩部などに発生,放散する。

    硝酸薬の使用で症状が速やかに改善する。

    症状が初発である,または増悪を認める際は,不安定狭心症として扱う。

    【検査所見】

    診断の確定,また治療法の決定のために,虚血の証明と,必要に応じて冠動脈の形態を把握することが重要である。

    現状では(),下記の負荷試験を行い虚血を確認し,重症度に応じて,冠動脈造影検査を行うことが妥当と考えられる。狭窄を有する可能性が比較的高いと想定される場合は,スタンダードな運動負荷試験より核医学検査や負荷エコーが推奨される。

    04_16_安定狭心症

    検査前確率が比較的低いと想定される場合は,冠動脈CTはルールアウトに適している。

    検査前確率が高く,ハイリスクと予測される場合は,冠動脈造影を選択してもよい。この場合,プレッシャーワイヤーを用いて,冠動脈血流予備比を測定することで血行再建の要否の判断も可能である。

    〈心電図,運動負荷試験〉

    安定狭心症の非発作時は特異的な変化に乏しいことが多く,トレッドミルやエルゴメーターにより運動負荷試験を行うことで,症状の有無や心電図変化を指標に虚血の判定を行う。負荷の前には,運動の禁忌がないか確認が必要。特に,不安定狭心症を示唆する所見がないか確認する。

    〈核医学検査〉

    核種として,201Tlや99mTcを用いて,心筋血流をイメージングする。運動負荷試験(エルゴメーター,トレッドミル)や薬物負荷試験(アデノシン)を行い,負荷時と安静時にイメージを撮像する。負荷時の「可逆的血流低下」は虚血を示唆する。虚血の程度や範囲,生存心筋の有無の評価も可能である。気管支喘息,除脈,房室ブロック,低血圧については薬物負荷試験は禁忌である。

    〈心エコー,負荷エコー〉

    治療方針の決定には,基礎心疾患や心機能などの情報が有用である。また,運動負荷試験や薬物(ドブタミン)負荷試験で虚血の診断も可能である。

    〈心臓CT〉

    CTが多列化し,冠動脈の解剖学的な評価が可能となった。陰性的中率が高く,特に冠動脈狭窄が疾患除外に有用である。

    冠動脈狭窄の可能性が高い群や,石灰化の強い群を撮像すると,感度特異度が低下する。

    〈冠動脈造影検査〉

    冠動脈形態評価のための最も信頼度が高い検査であり,標準的検査である。

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