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貧困と格差

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-11
新田國夫 (新田クリニック理事長)
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  • ■考え方

    低所得者への給付は,生活保護世帯に対しては医療,介護が行われ生活の最低限保障が存在する。低所得者(相対的貧困)にとっての医療,介護負担,負担限度額は基本的な生活水準を保ちながら行われなくてはならない。

    医療,介護の内容に差は生じないが,生活に関わる貧困格差は増大することになる。

    OECDによると,人口の10%の富裕層の所得が,下位10%の貧困層の所得の9.5倍に達している。

    貧困水準には絶対貧困水準と相対貧困水準の2つの概念がある。国,地域の中で平均的な生活レベルより著しく低い層,個人の貧困は相対的貧困である。国,地域の生活レベルとは無関係に,人間が生きるのに必要な最低限の衣食住を満たす生活水準以下の層,個人の貧困を絶対的貧困の概念としている。2008年,世界銀行による絶対的貧困の定義は世界で1日1.25ドルに改定され,1.25ドル未満(年間約450~460ドル≒4万5千円)で生活する人々が2005年で約14億人,世界の4人に1人が絶対的貧困に該当するとされている。

    *:2015年にはさらに1.90ドルに改定された

    40歳未満の死亡率と医療サービスや安全な水へのアクセス率,5歳未満の低体重児比率,成人非識字率などを組み合わせた指標で貧困を測定する国際連合開発計画の定義がある。

    OECDが用いる相対的貧困率は,手取りの世帯所得を世帯人数で調整し,中央値の50%以下を相対的貧困として計算している。2014年7月の国民生活基礎調査によると相対的貧困率は16.1%であった。日本人の約6人に1人が分類される1)

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