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OCT angiographyでできること,今後の展望について

No.4950 (2019年03月09日発行) P.59

日下俊次 (近畿大学医学部眼科学教授)

飯田知弘 (東京女子医科大学眼科教授・講座主任)

登録日: 2019-03-07

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  • 最近,話題の光干渉断層血管撮影(OCTA)ですが,従来から行われている蛍光眼底撮影と測定原理,得られる情報がどのように違うのか,また,今後の展望について教えて下さい。東京女子医科大学・飯田知弘先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    日下俊次 近畿大学医学部眼科学教授


    【回答】

    【非侵襲的に血管像を層別に観察でき,今後ますます普及が期待される】

    光干渉断層血管撮影(optical coherence tomography angiography:OCTA)は非侵襲的に眼底の血管像を観察できる新しい技術で,研究や臨床における様々な有用性が報告されてきています。2018年4月に保険収載されたことで,今後ますますの普及が期待されます。

    OCTAの原理は,OCTで眼底の同一部位を複数枚撮影して,変化のあるシグナルのみを画像化するものです。血液が流れている部位ではOCT画像間に変化が生じ,この動きのある部分のみを血流情報として描出して血管像を構築します。造影剤で血管を描出する蛍光眼底造影とは主に次のような違いがあります。

    OCTAの最大の利点は,造影剤を使用しない非侵襲性にあります。蛍光眼底造影は副作用や煩雑さから,診断時や治療効果判定時などの節目のタイミングで行われることが通常です。これに対してOCTAは,副作用がなく安全で検査時間も短いことから繰り返しの検査も可能であり,病状変化の把握に適しています。

    もう1つOCTAの重要な利点は,en face画像で層別に血管像を観察できることです。OCT信号は三次元的に取得されており,セグメンテーションを行うことで層別に血管構造を観察でき,二次元的な蛍光眼底造影所見とは異なる新たな情報が得られます。たとえば,網膜毛細血管閉塞や毛細血管瘤形成は深層毛細血管網で生じやすいこと,その程度が治療反応に関わっていることなどがわかってきました。

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