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鼻涙管閉塞(成人)[私の治療]

No.5208 (2024年02月17日発行) P.53

石川 聖 (埼玉医科大学医学部眼科講師)

登録日: 2024-02-17

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  • 成人での鼻涙管閉塞は涙囊以降の涙道粘膜に閉塞を認める病態で,発症の原因はまだ解明されていない。涙囊部より上流で閉塞する総涙小管閉塞や涙小管閉塞とは異なり,症状は流涙だけでなく眼脂が出現することが多い。

    ▶診断のポイント

    細隙灯顕微鏡で涙液メニスカスの異常な貯留(正常は0.3mm以下)を認めることが多く,涙道通水検査で鼻腔への通水が得られない場合は本症を強く疑う。涙囊炎を併発していることも多く,その場合は涙囊部の腫脹や多量の眼脂も認める。通常は,上涙点,下涙点ともに通水検査で貯留した眼脂や粘膜の逆流を認める。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    閉塞部位がどこか(鼻涙管全長なのか,一部なのか),それを確認する検査機器の有無により治療方針の立て方は異なる。耳鼻科など他科の疾患が原因で鼻涙管閉塞を起こすことがあるので,可能であればCT検査を行い,鼻涙管開口部やその周囲に閉塞起点がないかどうか確認するのが望ましい。

    【涙道内視鏡がある場合】

    閉塞部位を視認できるとともに,涙囊内の菌石の有無,涙囊内感染の併発の有無を確認できる。

    【涙道内視鏡がない場合】

    ブジー針を涙点から挿入し閉塞している場所まで進め,その長さで閉塞部位を推測する。検査時に仮道をつくることのないようあまり細いものは使用しない(05以上のブジー針を推奨)。挿入が10mmまでで止まる場合は涙囊内に到達していないため,総涙小管までの狭窄の存在,または検査手技に問題があると推測される。

    【CT検査ができる場合】

    鼻涙管の全体像を確認するためにCT検査を行う。鼻涙管閉塞の原因として腫瘍や鼻涙管付近の外傷,手術の既往がないかを確認できる。また,鼻中隔弯曲などによる鼻腔内の狭窄の有無を確認することで,鼻内法による涙囊鼻腔吻合術の難易度を確認できる。

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