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院外心停止を1人でも多く救命するために【『JRC蘇生ガイドライン2015』では胸骨圧迫のポイントに言及】

No.4901 (2018年03月31日発行) P.52

名知 祥 (岐阜大学医学部附属病院 高次救命治療センター臨床講師)

登録日: 2018-04-01

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心肺蘇生ガイドラインは2000年に国際ガイドラインが発表されて以来,5年に1度の改訂が行われている。最新のガイドラインは15年10月に発表された『JRC蘇生ガイドライン2015』となる1)。重要なポイントとしては,胸骨圧迫の部位は胸骨の下半分とし,深さは胸が約5cm沈むように圧迫するが6cmを超えないようにすること,速さは1分間当たり100~120回のテンポで行うこと,圧迫解除時には完全に胸を元の位置に戻すために力がかからないようにすること,胸骨圧迫の中断を最小限にすること,が挙げられる。人工呼吸の訓練を受けていて,行う意思があれば胸骨圧迫と人工呼吸を30:2の比率で行うが,訓練を受けていなければ胸骨圧迫のみの心肺蘇生を行うようにする。

これらを行うためには,まず心停止を早期認識する必要がある。反応がみられず,呼吸をしていない,あるいは死戦期呼吸の傷病者がいたら,判断に自信が持てない場合やわからない場合でも心停止として,直ちに胸骨圧迫を開始すべきである。

市民へのAEDプログラムの普及も重要であり,心肺蘇生とともに普及へ体系的な取り組みが必要である。今回の改訂では胸骨圧迫のみのトレーニングに加え,学校における一次救命処置(BLS)教育の普及について具体的に言及している。また,口頭指導実施者に対する教育と継続的な質の改善も重要であり,全国の消防で通信指令員への教育体制の整備が進められている。

【文献】

1) 日本蘇生協議会, 監:JRC蘇生ガイドライン2015. 医学書院, 2016.

【解説】

名知 祥 岐阜大学医学部附属病院 高次救命治療センター臨床講師

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