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軽度の低Na血症に対し水制限は必要か?【病態悪化の危険もあるため,原因の究明が先決】

No.4868 (2017年08月12日発行) P.59

種本雅之 (新久喜総合病院腎臓内科統括部長)

登録日: 2017-08-08

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  • 外来において,しばしば130mEq/L程度の低ナトリウム(Na)血症(が持続する)例を経験します。嘔吐や下痢がなく,利尿薬使用もなく,心不全,腎不全,肝不全,ネフローゼ症候群などがなければ,抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone:SIADH)として水制限をすべきでしょうか。血漿浸透圧や尿浸透圧,尿中Na測定などは行うべきでしょうか。

    (石川県 Y)


    【回答】

    低Na血症は骨折頻度の上昇や認知機能の低下をきたすことが報告されています1)。血清Na濃度の是正により生命予後の改善が期待できますが,適切な是正には原因に応じた治療が必要です。水制限はSIADHに対しては有効な治療です。しかし,水制限が病態を悪化しうる疾患に起因する低Na血症もあり,原因を究明せずに水制限を行うことは推奨できません。

    ご指摘にある,心疾患,腎疾患,消化管疾患以外に,甲状腺機能低下や副腎機能低下を含む内分泌異常も低Na血症の原因になります2)~4)。また,利尿薬以外の様々な薬剤も低Na血症をきたしますし,SIADHと鑑別することが困難な腎塩類喪失症(renal salt wasting:RSW)が低Na血症の原因である可能性もあります5)。病態に則した血清Na濃度の是正が必要であり,低Na血症の治療に際しては,電解質の専門医に相談されることを推奨します。

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