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経口抗凝固薬の中和薬【イダルシズマブが上市。本当に中和が必要か見きわめた上での使用が肝要】

No.4864 (2017年07月15日発行) P.54

松本直樹 (聖マリアンナ医科大学薬理学教授)

登録日: 2017-07-13

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経口抗凝固薬の主役はワルファリンから新規開発薬に移りつつある。それらは直接的に凝固因子を阻害することから,DOAC(direct oral anti-coagulant)と呼ばれることが増えた。その名の通り,作用機序が比較的単純であることも使いやすい理由のひとつであろう。

新規開発ゆえに中和薬がないことが問題であったが,イダルシズマブ(プリズバインド®)が上市された。ダビガトラン(プラザキサ®)を特異的に阻害するモノクローナル抗体で,静注により速やかに抗トロンビン効果を阻害する。

イダルシズマブの半減期は約12時間で,24時間ほど効果が持続する。それ自体には凝固作用はなく,ダビガトラン同様,作用機序は単純である。ダビガトランの半減期も12時間ほどで速やかに消失することから,中和薬も短期間,用いられる。特異的阻害薬でもあり,単純なもの同士の併用は相性が良さそうである。そもそも,併用薬が何をするかわからないのが薬物治療,そして薬物相互作用というものであるから,単純なのは何よりである。

しかし,90日間の追跡を行ったRE-VERSE AD試験では6.3%に血栓性のイベントが発生している。過半数は抗凝固治療を再開していなかったことから,早期の抗凝固薬再開が肝要と説明されているが,凝固系は複雑であり,単純な中和薬投与でも何が発生するか予想は難しいのではないか,とも考えられる。
本当に中和薬が必要な症例か,よく考えて適応としたい。

【解説】

松本直樹 聖マリアンナ医科大学薬理学教授

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