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(64)日常診療で正しい医学用語を使用する【SECTION5 周囲とのスムーズな情報共有のために】[特集:これだけは押さえて欲しいルール&マナー]

No.4714 (2014年08月30日発行) P.85

岩澤孝昌 (公益社団法人地域医療復興協会 横須賀市立うわまち病院 循環器内科循環器部長/集中治療部部長)

登録日: 2016-09-01

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  • これで大丈夫?

    <呼吸苦…?>

    循環器内科症例カンファランスでの1コマです。ある初期研修医が受け持ち患者のプレゼンテーションで「呼吸苦を主訴に当院搬送された72歳の女性ですが…」と。その直後に院長より「呼吸苦を英語で言うと何だね?」「dyspneaです」「では,呼吸困難は英語でなんと表現するのかな?」「…dyspneaです」。
    医学用語ではない呼吸苦という表現を用いた研修医に対する指導を込めた質問でした。呼吸苦という言葉は,借金苦や生活苦といった日本語表現を参考に,呼吸困難で苦しそうにしている患者さんを表現し,かつ短縮化され,看護師の表現として広まっていったとする説があります。

    <略しすぎでは…>

    「アレスト!心マ!エピ1アンプル!このままじゃステルからPCPSプライミング!」おそらくほとんどの先生方が理解可能だと思います。しかしながら,全国の看護師や日本語を学ぶ他国の看護師,研修医がこの言葉を理解できるでしょうか?
    その数日後,別の病院に医師支援で出張した際に,急性心筋梗塞を疑うような胸部絞扼感を主訴に救急車で搬送される患者さんの報告が研修医から電話でありました。しかしその表現には,さすがに私も驚きました。「胸苦の患者さんが救急車できます」と。
    正しいとされる医学用語と,実際の現場で使用されている言語の変化に驚愕しました。

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