日本病院会や全国自治体病院協議会など15の病院団体で構成する日本病院団体協議会(日病協)は4月16日、「2026年度診療報酬改定に関する要望書【第1報】」を福岡資麿厚生労働相に提出した。物価や人件費の上昇に速やかに対応できる診療報酬上の仕組みの導入などを求めた。
要望書で日病協は、医療機関は物価や人件費の高騰に伴うコスト増を一般企業のようにサービス提供価格(診療報酬)に転嫁できない特性があることに加え、24年度改定における診療報酬本体の改定率が0.88%にとどまった影響で、「病院経営はこれまでに経験のない極めて厳しい状況に置かれている」と強い危機感を示した。
その上で、感染症のまん延のような不測の事態が生じた際にも地域医療を破綻させないためには、「ある程度余裕を持たせた診療報酬改定が求められる」と指摘。その実現に向け、まずは「社会保障関係費の伸びを高齢化の伸びの範囲内に抑制する」ことを目標とする現行の財政フレームの抜本的な見直しが必要だと主張した。
26年度診療報酬改定に関する個別事項では、(1)入院基本料の大幅な引上げ、(2)診療報酬が物価高騰や人件費高騰に適切に対応する仕組みの導入、(3)人員配置を基本要件とした従来型の診療報酬体系の抜本的な見直し、(4)医療DX推進に係る費用に対する適切な評価、(5)入院時食事療養費に対する継続かつ適切な評価―を要望した。
このうち(2)について、2年に1度の改定では物価・人件費高騰のスピードに対応できず、そのために病院経営が悪化することになれば医療提供サービスの質が低下するリスクが高まると問題提起。コスト上昇に迅速に対応できる診療報酬上の新たな仕組みとして自動調整システムや加算制度などの導入を提案した。
(3)では、これまでの「人員配置基準ありき」の診療報酬体系を柔軟化し、医療提供実施の質やアウトカム評価、医療サービス提供の質を維持するためのプロセス評価等の仕組みを段階的に導入することを求めた。