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(1)認識ギャップを調査する【4章 「変える」で生まれる真価】[特集:患者満足度を上げる院内・院外広報]

No.4727 (2014年11月29日発行) P.62

石田章一 (NPO法人日本HIS研究センター)

登録日: 2016-09-01

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  • ☞ 認識はひょんなことから連鎖する

    一般の市民・利用者が求める医療施設あるいは医療サービスとは,どんな施設やサービスでしょうか。そもそも医師や専門職が,最大の知恵と経験から発するその人だけの処方について,患者さんはどの程度理解ができるでしょうか。考えれば絶望にも近いアンサーとなるに違いありません。でも,その時患者さんや利用者は,知っている限りの中から「医療の選択」をしなければならない状況に追い込まれているのです。決して何も知らないというわけではないのですが,自分の能力の限界を尽くしても,「納得」できないで終わることもあります。すると選択は,客観的でなく,専門家にない「主観的評価」の道を歩み始めます。「今日の医師は,真剣味がない」「看護師は丁寧さがなかった」「受付の説明の仕方が酷い」といったように「自分の中の言葉」にしたがってイメージ(認識)されるのです。言葉とはある意味で認識パターンのことです。その人がどのように認識しているか,それが言葉です。また,認識はひょんなことから連鎖します。それらが私たち専門分野にいる者の見方なのです。
    医療(プロセス)の質を十分に評価し積み上げていけば,安心で効果的な医療が実現していくことは間違いないと思います。しかし,そのことによって受けた医療サービス(利用者の満足度)も向上するのでしょうか。医療の質の判断には,様々な指標が使われますが,それはあくまでも,医療の仕組みや構成要素を提供側の論理で評価したもので,一般の利用者には理解しにくい内容になっています。そのことについて,「わかりやすさの原則」を使った説明の機会や仕組みがないことは大変もったいない話であると言えます。現場に向けた客観的な数値であり,できれば患者さんや利用者が望む項目について施設ごとの期待や充足(主観的評価)のデータも欲しいところです。医療の利用者が受けたサービスや医療に対する満足度や納得度,信頼度というわかりやすく切実な情報があれば,医療提供側と利用側の共有も進み,そうした問題解決のために,今後恊働して取り組んでいくことも可能になるのではないでしょうか。

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