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precision medicine  【精神疾患を神経,認知,行動などの脳機能システム障害として戦略を見直すことを提唱】

No.4804 (2016年05月21日発行) P.53

片桐直之 (東邦大学精神神経医学)

水野雅文 (東邦大学精神神経医学教授)

登録日: 2016-05-21

最終更新日: 2016-10-26

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precision medicine は2015年1月20日に米国オバマ大統領が一般教書演説で用いた“Precision Medicine Initiative”に由来する新造語である。
従来型医療では,平均的な患者モデルが想定され,このモデルに最大の効果が上がるはずの単一の治療指針がすべての患者に推奨されてきた。しかし,実際には,効果が得られる人がいる一方,無効なことも稀ではなかった。この対極にゲノム医療に基づくオーダーメイド医療などがあるが,個別に治療戦略を構築するには莫大な費用がかかり,公平性においても問題が生じる。そこで,precision medicineでは,遺伝解析,情報科学,医療技術の向上などを背景に大規模データを得た上で,遺伝,環境や生活因などをふまえ,個別に予防や治療戦略を提供することをめざす。
精神科領域においては,多くの新知見が重ねられているものの,薬物療法においてはphaseⅠやⅡでの新薬への期待が高まるコンパウンドは少ない上,phaseⅢにおける研究中断も続く。この状況に対し,米国国立精神衛生研究所(NIMH)のInselは,臨床試験のあり方そのものに変革が必要であり,precision medicineがめざすべき研究対象患者の精緻なカテゴリー探しと,これまで直接的な治療対象としてこなかった新しい臨床概念をも標的とすることの重要性を訴え,疾患概念の見直しを進め,精神疾患を神経,認知,行動などの脳機能システム障害として戦略を見直すことを提唱している。

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