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『医療・介護関連肺炎診療 ガイドライン』の特徴

No.4728 (2014年12月06日発行) P.59

山口泰弘 (東京大学加齢医学講師)

登録日: 2014-12-06

最終更新日: 2016-10-26

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2011年に日本呼吸器学会から『医療・介護関連肺炎診療ガイドライン』(文献1)が発表された。従来,肺炎は院内肺炎と市中肺炎に分類されており,原因菌の推定やそれに基づく初期治療は,その分類を参考に行われてきた。しかし,入退院や血管内治療を繰り返している要介護高齢者や透析患者,あるいは介護施設に入所中の患者,長期療養型病床に入院中の患者などの肺炎は,いずれとも異なる独自の病態であるため,医療・介護関連肺炎と定められた。
このガイドラインには,従来の概念では主題にはならなかった要素が多く取り上げられている。肺炎における嚥下障害の関与が詳細に記載されており,また,肺炎の背景にある病態,基礎疾患,合併症,栄養状態などの多様性と重要性が強調されている。さらに,人生の最終段階としての肺炎という側面にも随所で触れられている。
本ガイドラインを片手に,耐性菌のリスクを評価しながら抗菌薬を選択することも重要であるが,さらに深い本ガイドラインの目的とは,肺炎の本質が菌と宿主相互にあることの問題提起であると思われる。次々と抗菌薬を広域にするだけの治療も,逆に“年齢”をみて“治らない”と切り捨てる姿勢も,厳に慎まなければならない。

【文献】


1) 医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン作成委員会, 編:医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン. メディカルレビュー社, 2011.

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