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心臓CTによる冠動脈と心筋灌流診断

No.4720 (2014年10月11日発行) P.54

宇都宮大輔 (熊本大学生命科学研究部画像動態応用医学 准教授)

登録日: 2014-10-11

最終更新日: 2016-10-26

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CTの進歩には目覚ましいものがある。2000年頃より臨床において活躍するようになったマルチスライスCTは,当時の4列から現在は最高で320列となった。これは0.5mmスライスの画像が体軸方向に320枚得られるCTであり,寝台を動かさなくても心臓全体をカバーできる16cmの範囲を,0.275秒という一瞬でスキャンできるものである。心臓CTを撮影するには,酸素を吸ってもらいながら30~40秒という長い息止めを患者に要求しなければならなかった2000年当時とはまさに隔世の感がある。
冠動脈疾患の治療計画のためには,詳細な冠動脈の形態情報と心筋の灌流情報が必要である。冠動脈狭窄の評価において冠動脈造影がゴールドスタンダードであることに変わりはないが,現在はCTがその役割を多く担うようになってきた。さらに,320列マルチスライスCTを用いたCOR E320多施設研究において,CTが心筋の灌流情報も提供できることが示された(文献1)。
CTを用いた灌流情報についてはまだエビデンスが十分ではなく,放射線被ばくや検査のスループットの問題を含め,今後の検証が必要ではある。しかし,一度に冠動脈狭窄と心筋灌流の情報が得られる心臓CTは,近い将来,クリニカル・ルーチンとして活躍するようになるのかもしれない。

【文献】


1) Rochitte CE, et al:Eur Heart J. 2014;35(17): 1120-30.

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