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ペースメーカー用リード残留小児 におけるMRI検査

No.4770 (2015年09月26日発行) P.65

吉田幸彦 (名古屋第二赤十字病院第二循環器内科部長)

登録日: 2015-09-26

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

ペースメーカーを離脱したものの,右房壁に縫いつけてあるリードがそのまま残留した状態の小児に対し,今後MRIを撮る際に注意すべき点をご教示下さい。問題ないという施設とMRIを行ってはいけないという施設があり,見解が統一されていません。 (新潟県 K)

【A】

ご質問の症例でMRIを撮像してよいか否かと言えば,答えは原則不可となります。その理由は,撮像してよいことを示すデータがないからです。
では,本症例でMRIを撮像した場合,どのようなリスクがあるでしょうか。まず,リードの移動がありえます。ただし,このリードは周囲の組織と癒着していると推測されるため可能性は低そうです。次に,リード先端の温度上昇による組織損傷や心筋穿孔が考えられます。1.5T(テスラ)のMRIでは,リード先端は63℃まで上昇する可能性があります。最後に,意図しない心刺激による不整脈が考えられます。右心房ですので,本症例では心房細動の可能性があります。しかし,リードの末端にキャップが取りつけてあれば電気が流れる回路(ループ)になりませんので,これらのリスクは少ないと思われます。そのほか,心臓以外の撮像であればさらにリスクは少ないでしょう。
以上のことを考慮して,MRIを撮像する必要性が上回るようなら,ご家族から同意を得た上で撮像することになると思います。
実際にMRIを撮像するときの注意点ですが,条件付きMRI対応ペースメーカーで撮像するときと同様の注意が必要と考えられます。すなわち,心電図やパルスオキシメーターによる血行動態のモニター,万一のときのための除細動器の準備,1.5Tのトンネル型MRIによる通常操作モードでの撮像,1軸当たりの傾斜磁場slew rateが200T/m/秒以下であること,送受信ローカルコイルがリードを覆わない,などの注意が必要でしょう。

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