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1日の塩分摂取量の測定法

No.4758 (2015年07月04日発行) P.70

山末耕太郎 (横浜市立大学医学部社会予防医学教室 特任講師)

登録日: 2015-07-04

最終更新日: 2016-12-13

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【Q】

1日の塩分(Na)摂取量の測定(推定)方法をご教示下さい。
また,測定器具があればご紹介下さい。
(和歌山県 T)

【A】

一番正確なのは食事を1人分余分に準備し,1日分の食事中のNa量を原子吸光法などで分析することです。これは,実験的には可能ですが,費用と時間がかかります。
日本高血圧学会減塩委員会は,ガイドラインで評価実施者別の食塩摂取量評価法を表1 (文献1)のように示しています。
秤量法は,秤,軽量カップなどを使用し,摂取する食品の重量を測定し,食品成分表を用いて,食塩摂取量を算出するものです。これは栄養士による聞き取りや算定に手間を要することから長期間の測定に適しません。また,加工品を使用した場合は調味料が不明なものが多く,正確度も落ちる問題があります。24時間思い出し食事調査(面接者が対象者に対して過去24時間に飲食したすべての内容を聞き出す方法)も不正確度はさらに上がってしまいます。
摂取した塩分は大部分(文献では平均約90%)が尿とともに排泄されるため,サンプルをとるのが煩雑ではあるものの,24時間蓄尿からNa濃度を分析し,食塩摂取量を推定する方法がgold standardと言われています。
採尿は,全尿をポリ容器などに採尿するのは大変なので,1/50の尿量を正確に比例採取するユリンメートRP(住友ベークライト製)を使用するのが便利です。Na濃度の測定はイオン分析装置で行うか,分析機関に依頼します。Na濃度をNaCl濃度に換算し,24時間蓄尿を積算したものが尿塩分排泄量で,それを0.9で割ったものが1日の塩分摂取量に相当します。
また,起床後第2尿をスポット尿として採取し,Na・Cr(クレアチニン)濃度を分析機関で測定して,年齢,性別,身長,体重より推定した24時間尿Cr排泄量を用いた計算式により24時間尿Na排泄量を推定する方法があります。これについては,信頼性はやや劣りますが(24時間蓄尿との相関はr=0.7レベル),採尿が簡単ということで,一般医療施設向けに推奨されています。
塩分の摂取量は日々の食事の違いによってかなり変動します。患者本人が日々,簡単に家庭で測定できることが好ましいでしょう。そのような装置として,夜間尿を指定のカップに採取し,電源を押すと,夜間尿の塩分量から推定された1日の塩分摂取量が統計的に出された計算式により求められ,それを食塩単位(g/日)で表示する電子式食塩センサー「減塩モニタ」(図1)(文献2)があります。測定精度はスポット尿法と同レベルですが,家庭で測定できるものとして,推奨されています。

【文献】


1) 日本高血圧学会減塩委員会, 編:日本高血圧学会減塩委員会報告2012. 日本高血圧学会, 2012, p39-50.
2) 河野エムイー研究所:塩分摂取量簡易測定器「減塩モニタ」 .
[http://www7a.biglobe.ne.jp/~konome/]

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