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アンナカの適応症状とは

No.4713 (2014年08月23日発行) P.62

合川勇三 (埼玉県立精神医療センター精神科)

登録日: 2014-08-23

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

アンナカを実際に処方しているところを見たことがないのだが,処方する場合は,どのような疾患が適応となるのか。 (北海道 U)

【A】

アンナカの成分は安息香酸ナトリウムカフェインであり,カフェインに安息香酸ナトリウムを加えて水に溶けやすくしたものである。安息香酸ナトリウムとカフェインがほぼ1:1の割合で含有されている。
安息香酸ナトリウムは防腐剤の一種で,炭酸飲料やソースなどに含まれている。安息香酸ナトリウム自体には精神作用はなく,アンナカの薬理作用は主としてカフェインに基づくものである。実際の使用量はアンナカ0.1~0.6gを1日2~3回とされており,カフェインの量としては,50~300mgを1日2~3回,つまり100~900mg/日となる(参考:ドリップコーヒー150mLに含まれるカフェインの量は100mg程度)。しかし,300mg/日以上になると,離脱時の頭痛や筋緊張が増加することもあるため,注意が必要である(文献1)。
効能・効果としては,眠気,倦怠感,血管拡張性および脳圧亢進性頭痛(片頭痛,高血圧性頭痛,カフェイン禁断性頭痛)に対して使用するとされている。
片頭痛の治療にカフェインが併用されることが多いが,その機序としては,カフェインがエルゴタミンの吸収を促進すること,またカフェインの脳血管収縮作用が片頭痛の改善に寄与していること,カフェイン自体に抗頭痛作用があることなどとされている(文献2)。ただし,カフェインを常用すると,逆に頭痛が起こりやすくなることがあるため注意が必要である。
また眠気を改善させるために処方されることもある。以前は抗てんかん薬による眠気をとるためにアンナカを併用することがあったが,最近は少なくなってきている。そのほか,終末期にモルヒネなどの鎮痛薬を処方した際の過鎮静に対して,覚醒作用を期待してアンナカが使用されることもある(文献3)。
アンナカを処方する上で注意する必要があるのは,カフェイン依存の問題である。カフェインには耐性がないとされており,摂取を続けても,量が増えていくということは少ない。しかし依存については,わが国でも報告されており(文献1,4),継続処方には注意が必要である。また,新たにアンナカの処方を強く希望する患者は処方薬依存の可能性もあると思われるため注意が必要である。
また,安息香酸ナトリウム自体は,尿素サイクル異常症の治療に使用されることがあるが(文献5),アンナカを間違って使用すると,カフェイン中毒になるため注意が必要である(文献6)。

【文献】


1) 小片 寛, 他:精神医. 1982;24(11):1221-5.
2) 間中信也, 他:頭痛クリニック. 新興医学出版社, 1993, p104.
3) 澤田大介:ナーシングケアQ&A. 2010;32:66-7.
4) 小片 寛, 他:臨精医. 1983;12(2):207-14.
5) 中村公俊, 他:小児内科. 2012;44(10):1628-32.
6) 高柳正樹:小児内科. 2012;44(10):1583-6.

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