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光トポグラフィー検査の臨床的有用性

No.4746 (2015年04月11日発行) P.55

三國雅彦 (国際医療福祉大学病院精神神経科教授/群馬大学名誉教授)

登録日: 2015-04-11

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

光トポグラフィー検査が2014年度から保険適用となりました。この検査法の有用性について。また,本分野を専門としない医師,たとえば一般の精神科診療所の医師が使いこなせるかどうかについて,国際医療福祉大学/群馬大学・三國雅彦先生のご教示をお願いします。
【質問者】
加藤 信:かとうメンタルクリニック院長

【A】

平成26(2014)年度診療報酬改定で保険収載された光トポグラフィー(近赤外線分光法,near-infrared spectroscopy:NIRS)の臨床的有用性と汎用性についてのご質問です。
専ら面接による症状評価によって行われている精神科診断の妥当性を担保するためには,脳形態・機能検査やバイオマーカーを用いた客観的補助診断技術の開発が必要となります。私たちは,PET(positron emission tomography,陽電子放射断層法),脳磁図,NIRSなどを用いた精神疾患の客観的補助診断法の開発研究に従事する中で,2009年に,NIRSを用いたうつ症状の鑑別補助診断を先進医療に申請して承認され,5年後にうつ病を対象として「抑うつ症状の鑑別診断補助に使用するもの」として保険収載されるに至りました。
いわゆる機能性精神疾患について臨床検査が客観的補助診断として保険で認められたのは世界で初めてのことであり,その意義は大きいと考えています。その有用性は,臨床的にはうつ病と診断されている場合でも双極性障害や統合失調症である可能性を示唆することについて認められています。「鑑別診断補助」という名称が示すように,臨床診断を基本とした上で,NIRS以外の脳形態・機能検査や神経心理検査との組み合わせによる客観的補助診断技術として実臨床で真価が発揮されるものと考えています。
なお,今回の保険収載はうつ病として臨床診断されている場合の双極性障害や統合失調症との鑑別を対象としており,健常者との判別についてのものではありません。したがって,一般の精神科診療所での汎用性については,今後の開発研究が必須になると考えます。
NIRSは検査時に自由な姿勢で,対話している状況での脳機能を解析することが可能な機器ですので,その特徴を生かした解析法が開発されて,実臨床での判別力が向上し,普及に伴う低価格化が実現すると,日常の面接場面での解析がどこでも可能になると期待されます。
日常の面接場面でのNIRS解析が可能となった暁には,うつ症状の鑑別補助としてNIRSを保険診療に承認したわが国が世界の推進役となって,客観的・補助的な診断法を取り入れた診断体系を確立していくことになると期待しています。

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