株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

7対1削減には病棟群での届出導入を [お茶の水だより]

No.4783 (2015年12月26日発行) P.9

登録日: 2015-12-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

▼7対1入院基本料算定病床の「適正化」として削減に向けた議論が中医協で進んでいる。いわゆる在宅復帰率の計算式を見直した上で、基準を引き上げるかどうかが争点の1つだ。現在7対1病棟では、自宅や高齢者住宅以外に、在宅復帰率が要件化された病棟への退院も計算式の分子に含まれる。
▼7対1病棟の施設基準は他の病棟と違い、在宅復帰率ではなく「自宅等退院患者割合」。これは自宅に戻れる患者ばかりではないという7対1の特性を踏まえたものだ。しかし14年度改定後は、中医協の資料でもなし崩し的に在宅復帰率と表記され、要件見直しが既成事実化している印象を受ける。確かに厚労省の調査では、「在宅」復帰率は約78%と高いが、これは7対1死守のために医療機関が努力した結果とも読み取れる。また今後、高齢者が急増するに従い、「在宅」復帰率は低下していくことが確実だ。
▼一方、「重症度、医療・看護必要度」の見直しも議論されているが、重症者の定義を厳格化するに伴い、退院後は回復期リハ病棟や療養病棟での入院が必要な患者も増加するのではないか。7対1の削減が進まないからといって、すべてを厳格化する方向で見直すことが適正化とは言えないだろう。
▼7対1削減に効果が期待できるのは、診療側が求める病棟群単位で複数の入院基本料を届出できる仕組みの導入だ。現在、一般病棟用の入院基本料は各病院で1つしか算定できない。7対1の病床稼働率は低下傾向にあり、例えば10対1も同時に病棟群で算定できるようになれば看護配置の柔軟性が増し、結果的に7対1削減につながる効果もある。また、この病床転換は病院が自主的に「7対1である必要がない」と判断したもので、医療需要を反映した本来の7対1の適正化とは言えないだろうか。


関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top