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女性アスリートの全面サポート体制確立を [お茶の水だより]

No.4701 (2014年05月31日発行) P.8

登録日: 2014-05-31

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▼オリンピック選手や各競技団体の強化指定選手に代表されるトップアスリートからジュニアまで、幅広く活躍している日本の女性アスリートたち。その活躍の陰で、無月経や疲労骨折、摂食障害など、さまざまな健康問題を抱える選手が多く存在する実態が明らかになってきている。
▼国立スポーツ科学センターの調査によると、国内トップアスリートの4人に1人が治療を要する月経困難症で、1割は無月経。しかし、婦人科受診率は1割にとどまっており、低用量EP配合剤を服用している選手はわずか3.4%だ。パフォーマンスを下げないための月経周期移動に関する知識も周知されていない。同センターの能瀬さやか医師は、低用量EP配合剤について「将来子どもが産めなくなる」「ドーピングに引っかかる」といった誤ったイメージを持つ選手が少なくないと指摘する。「生理が止まって一人前」「貧血にならないので楽」などとして多くの無月経が放置され、低エストロゲン状態から疲労骨折に至る事態を招いているという。特に10代の選手は婦人科受診に抵抗があり、選手や保護者が治療に前向きになっても、指導者の理解が得られず、治療まで結びつかないケースもある。
▼医療側の体制はどうか。現在、日本体育協会や日本医師会、日本整形外科学会がそれぞれスポーツドクターの認定を行っているが、このうち日本体育協会公認スポーツドクター(5512人)の76.1%を整形外科医が占めている。一方、産婦人科医は95人(1.7%、うち女性医師は15人)。これまで女性アスリートの体系的な治療支援がほとんど行われてこなかった背景には、こうした人員不足もあるが、東京オリンピック開催を控え、専門家集団が相次いで新たな対応を始めている。日本産科婦人科学会は、選手や指導者を対象にしたアンケート調査で問題を洗い出し、来年をメドに管理・治療ガイドラインをまとめる。日本産婦人科医会も今年度、(1)選手と家族、(2)指導者や教師、(3)医師(産婦人科医、学校医)や養護教諭─に向けた冊子をそれぞれ作成し、女性アスリートを診察する上での注意点に関する全国講習会を開く。これらは、産婦人科以外の医師にも広く周知していく方針だ。
▼思春期の健康は女性の生涯の健康につながる。全国どこにいても女性アスリートが適切な診療やアドバイスを受けられる体制づくりに向けて、メディアや各種団体を巻き込んだ体制づくりが期待される。

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