早発閉経は,40歳未満で卵胞が枯渇し,自然閉経を迎えた状態を言う。早発卵巣不全(primary ovarian insufficiency:POI)は,40歳未満で4カ月以上の無月経があり,高ゴナドトロピン値・低エストロゲン値を満たす場合とされる。早期卵胞枯渇あるいは卵胞減少が病態として存在する一方,加齢による閉経とは異なり,卵巣機能が復活する例もみられる。自然発生例に限ればその頻度は2%である。原因は多岐にわたるが,最も重要な問題は結果としての低エストロゲン状態による全身への影響である。具体的には,更年期障害様症状,骨量低下,脂質プロファイルの悪化や心血管疾患リスクの上昇,認知機能低下などの原因となる。
40歳未満の女性に無月経,更年期症状,不妊などの症状を認める場合は,早発閉経もしくはPOIを疑う。採血し1カ月以上の間隔で2回の測定を行い,卵胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone:FSH)値が25mIU/ mL以上の高値かつエストラジオール値が20pg/mL以下で診断する。そのほか,卵巣予備能の評価としては,抗ミュラー管ホルモン(anti-Müllerian hormone:AMH)の測定が有用である。
挙児希望の場合には速やかな治療介入が望ましく,早期に生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)を専門とする施設へ紹介する。
残り3,697文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する