株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

鍼灸をもっと身近に(寺澤佳洋)[プラタナス]

No.5272 (2025年05月10日発行) P.3

寺澤佳洋 (口之津病院内科・総合診療科)

登録日: 2025-05-08

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 鍼治療の効果と魅力を実感した、忘れられない症例である。

    10歳代後半の男性。鍼灸大学に在籍し、大病の経験はない。大学入学を機に始めたバドミントンの影響か、腰痛を発症した。腰のMRI検査を受けたものの、明確な原因は見つからず、外用薬や牽引療法などを試したが、痛みの改善はほとんど見られなかった。

    痛みが続く中、彼はある勉強会に参加していた。その日も座学の後、しばらくの間立ち上がるのがつらいほどの腰痛に悩まされていた。休み時間に鍼治療を受ける機会があり、手掌の側面、小指の付け根にある“後渓”という経穴(つぼ)に1本の鍼が刺入された (写真)。“得気”と呼ばれる鍼治療特有の独特な感覚を、彼ははっきりと感じた。治療後に立ち上がると、まるで腰に翼が生えたかのように痛みが消えていた。この治療で、それまで苦しんでいた腰痛から解放され、残りの学生生活も痛みを気にせず楽しむことができた。

    残り834文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top