質問
開院から10年以上が経過し,機器も設備も老朽化が目立つようになってきました。収益向上のために内視鏡の導入など新たな取り組みも考えはじめており,何にどのような優先度で投資をすればよいか,考えるポイントを知りたいです。
回答
大きな資金が必要となる設備投資は,医院運営において悩むポイントの1つです。取り組みたいことが明確であれば悩まずに投資を判断することも可能ですが,「設備も更新したい」「機器やシステムも更新したい」など,候補が複数ある場合,一挙に投資してしまうと財務的に厳しくなります。自院にとっての優先度をあらかじめ考えながら,計画的・段階的に投資を判断していくことが基本となります。
まずは直近の投資対象だけでなく,今後3,4年ほどを見通して,どのような投資や改修が必要となるかをざっくりリストアップしてみましょう。
これらについて,必要に応じて業者から見積もりを取るなどして,各項目でどのくらいの費用がかかるのかを試算します。あわせて,経営的に優先度が高いのはどの項目か,リース機器の残期間が短いのはどれか,故障や破損による診療継続リスクが高いのはどれか,1年ごとに無理なく投資できる金額はどのくらいかなどを勘案して,優先度と投資項目(額)を判断していくとよいでしょう。その上で,「今年は調子の悪くなってきたPCを3台入れ替え,来年は古いエコーを入れ替える。エコーが高いので3年目は大きな出費を我慢して,4年目にそのとき古くなっている設備の中で優先度の高いものを改修しよう」「ニーズの高い内視鏡を最優先で導入する。非常勤医雇用も発生するので,この先2年はそれ以外の投資をせずに,内視鏡収益が安定したらそのときにWebサイト更新を優先事項として考えよう」など,先々を見通したプランを具体的にイメージしておくと,財務的にも心理的にも安心して計画的な投資をすることが可能となります(図1)。
レントゲン機器やエコーの資産としての法定耐用年数は,6年と定められています(医療機器によって耐用年数は変わります)。機器としての寿命はもっと長く使えることが多いですが,一定期間での投資回収を考える際には,この耐用年数の間にきちんと回収できるか,というのが1つのポイントです。