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スズメのお宿 [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(91)]

No.4796 (2016年03月26日発行) P.70

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-26

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  • 数年前、テレビのニュースで、えらく人になれたスズメがいて、手のひらに載せた餌に寄ってくるというのをやっていた。なんとなく良寛さんのようでええ感じやないのと思い、以来、毎朝、庭に来るスズメに餌をやっている。

    夜が明けると軒やビワの木の樹冠で行儀良く待っている。おもしろいもので、季節によって数が変動する。一番多くなるのは真冬で、おおよそ60羽ほど。たぶん、他に餌が少ないのだろう。

    逆に少なくなるのは実りの秋で、冬の半分以下しか来ない。街中であっても自然の餌が増えるのだろうか。けっこう離れた所にしかない田んぼにまで食べに行っているのだろうか。いささか不思議ではある。

    楽しいのは五月頃だ。ようやく飛べるようになった子スズメたちが登場する。子スズメは、羽がふわっとしているので、親よりも体が大きく見える。そんな子スズメに親はけなげに餌をやる。自分より体が大きいような子に餌をやるって、アホちゃうか、とか思わないでもないのだが、それがまた実に可愛らしい。

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