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特集:妊娠と糖代謝異常管理マニア─本質的な妊娠中のインスリン必要量の変化から管理を考える

No.5231 (2024年07月27日発行) P.18

篠田純治 (トヨタ記念病院内分泌・糖尿病内科科部長)

登録日: 2024-07-26

最終更新日: 2024-07-24

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名古屋大学医学部卒業。1996年からトヨタ記念病院。2023年日本内分泌学会東海支部学術集会大会長。栄養学(NST)も専門とし,2024年日本栄養治療学会(JSPEN)中部支部学術集会大会長。

1 妊娠中の糖代謝異常のスクリーニング・診断

  • 妊娠初期のスクリーニングは,妊娠前からの耐糖能異常の有無を調べるもの。
  • 妊娠中期のスクリーニングは,本来の妊娠糖尿病(GDM)を検出するもので,50g GCTが望ましい。
  • 随時血糖では,食後の採血でないと本来のGDMを見逃す可能性がある。
  • 妊娠中の明らかな糖尿病の診断は,通常の非妊娠時の糖尿病診断とは違う。

2 食事・体重

  • GDMと診断されると極端に炭水化物摂取制限をしてしまうことがあり注意。
  • 妊娠前からの肥満が児にも大きなリスクとなる。

3 本質的な妊娠中のインスリン必要量の変化

  • 総インスリン量は,妊娠20週を過ぎてから増加し,妊娠22週から追加インスリンを中心にさらに増加が加速,妊娠35~38週頃まで増加し以降減少。
  • 出産直後からインスリン必要量は急激に減少,総インスリン量は約1/2になる。
  • 出産後は追加インスリンの減少が大きい。授乳期には妊娠前よりインスリン必要量が少なく,授乳が終了すると妊娠前に戻る。
  • 妊娠中の基礎インスリンパターンは,暁現象から朝の増加が一番大きいが,昼前が1日の中で一番少なくなり,この時間帯は妊娠が進んでもあまり必要量は増えない。午後からは緩い二峰性となり徐々に増加する。
  • 妊娠中の追加インスリンパターンは,朝・昼・夕とも増加していくが,朝の増加が一番大きい。
  • 本質的なインスリン必要量の変化を理解していれば,1型糖尿病,2型糖尿病,GDMを問わず,先の変化を予測しての対応が可能となる。

4 その他のトピックス

  • GDM様に受診した緩徐進行1型糖尿病。
  • 三胎妊娠をCSIIで管理した1型糖尿病症例から学ぶエッセンス。

5 まとめ

  • 妊娠経過に伴う本質的なインスリン必要量の変化を理解すると,適切で予測的な妊娠中・周産期から授乳終了の時期までの血糖管理が可能となる。

冊子(No.5231) 図7〜9のカラー画像はこちらでご覧いただけます

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