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■NEWS 医療従事者の処遇改善、無床診は初再診料と訪問診療料への上乗せで対応へ

No.5204 (2024年01月20日発行) P.70

登録日: 2024-01-11

最終更新日: 2024-01-11

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厚生労働省は14日の診療報酬調査専門組織「入院・外来医療等の調査・評価分科会」に、診療報酬改定率0.88%のうち0.61%を充当して行う医療従事者の処遇改善について、具体案や点数設定のシミュレーション結果を提出した。無床診療所は「初再診料」等と「在宅患者訪問診療料」に賃上げに必要な点数の上乗せを実施し、病院と有床診療所はこれらに加えて「入院基本料」等にも上乗せを行うとしている。

厚労省案によると、処遇改善の対象職種は看護職員、病院と診療所の薬剤師および、その他の関係職種(看護補助者、リハビリ専門職、管理栄養士など)。賃上げ促進税制の有効活用を前提に、診療報酬で対応する賃上げ率は2.3%とする。

上乗せ対象の基本診療料は、(1)訪問診療を行わない無床診療所=「初再診料」等、(2)訪問診療を行う無床診療所=「初再診料」等と「在宅患者訪問診療料」、(3)病院=「初再診料」等、「在宅患者訪問診療料」および「入院基本料」等―と想定。対象医療機関ごとに算出した賃上げ必要点数の中央値で上乗せ点数を設定した場合の賃金増率の分布状況を検証した。

結果をみると無床診療所の上乗せ点数は、①「初診料」等:6点、②「再診料」等:2点、③「在宅患者訪問診療料」(同一建物居住者以外):28点―などとなった。賃金増率は、目標値の2.3%前後にピークがあるものの、ばらつきも目立ち、大幅な補てん不足や過剰補てんが見込まれる施設も存在する。

病院と有床診療所は、「初再診料」等と「在宅患者訪問診療料」に無床診療所と同じ点数を上乗せし、不足分を「入院基本料」等への上乗せで賄う。「入院基本料」等への上乗せは、(1)全病院に一律の点数(62点)を設定、(2)賃上げ必要点数の分布状況に応じて5種類(29点、47点、62点、78点、115点)の点数を設定、(31点〜150点の150種類の点数を設定―の3パターンで行った。

■入院基本料等は上乗せ点数を150種類とする案が有力

その結果、賃金増率の分布のばらつきは(3)が最も小さく、2.22.4%の間に9割超の施設が集中。厚労省が(2)と(3)で事務負担に大きな差はないと説明したこともあり、(3)の150種類の点数設定案に支持が集まった。一方、無床診療所には賃金増率0.5%に満たない施設が生じる点が問題視された。該当施設には、人工透析や内視鏡検査の実施が多いなど、一定の特徴があることが明らかになっている。

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