プライマリケア医受診の骨粗鬆症患者(女性)がデノスマブを使用すると、経口ビスホスホネート(BP)製剤に比べ年間1000例当たり2.6例で2型糖尿病(DM)発症が抑制されるとのデータが、British Medical Journal誌に掲載された。報告者は中国・中南大学のHouchen Lyu氏ら。若干旧聞に属するが紹介したい。
デノスマブはそのRANKL阻害作用を介した肝インスリン抵抗性改善、あるいはNF-κB系抑制によるβ細胞増殖促進など、DM発症抑制作用が期待されていた。
今回解析対象となったのは、DM診断歴のない45歳以上の骨粗鬆症例中、新規にデノスマブを開始(新規・切替)した4301例と、傾向スコアでマッチした経口BP製剤服用2万1038例である。英国プライマリケア医データベースから抽出した。
平均年齢は75.7歳、女性が94.3%を占めた。体重が「正常」だったのは41%のみ、「低体重」は17%だった。
診察記録を用いて2型DM発症率を、デノスマブ開始群と経口BP製剤群間で比較した。追跡は「2型DM診断」「デノスマブ/経口BP製剤中止」「死亡」「クリニック転院」まで続けた(最長5年間)。
平均2.2年間の追跡期間中、デノスマブ群では経口BP製剤群に比べ、2.6/1000人年、2型DM発症率が有意に低くなっていた。ハザード比にすると0.68(95%信頼区間[CI]:0.52-0.89)である。
ただし亜集団別解析を見ると、「DM予備群」では、デノスマブ群における2型DM発症HRは0.54(95%CI:0.35-0.82)の有意低値だったのに対し、それ以外では0.92(同:0.65-1.32)の減少傾向にとどまった(交互作用P=0.05)。
Lyu氏らはこれらの結果を、DM高リスクの骨粗鬆症治療薬選択に当たり考慮すべきデータだと考えているようだ。
なお米国内科学会が本年初めに公表したメタ解析によれば、プラセボと比べたデノスマブによる大腿骨近位部骨折の3年間治療必要数(NNT)は「250」だった。BP製剤は「167」である。
今回の比較研究への資金提供に関する記述はなかった。